クリニック開業コンサルティングとは?サポート内容やメリット・デメリット・選び方を解説
2024年9月20日
「クリニックの開業を検討しているが何から手をつければいいのか分からない」「コンサル会社が多すぎてどの会社がいいのかよく分からない」と悩む医師は少なくないでしょう。
この記事では、クリニック開業コンサルティングの種類やサポート内容、依頼するメリット・デメリット、コンサルティング会社を選ぶときのポイントを解説します。最後までお読みいただくと、自分のクリニックを開業する際に最適な会社を選ぶ基準が明確になるでしょう。
目次
クリニック開業コンサルティングとは?
クリニック開業コンサルティングは、クリニックの開業に際し、さまざまな業務をサポートするサービスです。
初めての開業では、やらなければならない業務が多く、時間がかかることが予想されます。診療に必要な物品は医師が検討する必要がありますが、事務作業など医師以外でも行える業務も数多く存在します。
そこで、このような業務をクリニック開業コンサルティング会社に委託することで、医師は本来の医療業務に集中でき、開業時の負担を軽減できます。
では、具体的に開業時にどのようなサポートを受けられるのか、詳しく見ていきましょう。
クリニック開業コンサルティングの種類
クリニック開業コンサルティングには、大きく分けて以下の2つの種類があります。
有料コンサルティング
無料コンサルティング
それぞれの特徴を解説します。
有料コンサルティング
有料コンサルティングは、コンサルティングを専門とする会社が提供するサービスです。
開業に関する豊富なノウハウや知識を活かし、医療機器の調達や資金の管理など、広範囲でバランスの取れたサポートを行なってくれるのがポイントです。特に、医療機器の導入に関しては、メーカーとの交渉が含まれる場合もあります。
無料コンサルティング
無料コンサルティングは、医療機器メーカーや税理士などがコンサルタントとしてサポートする場合が多い傾向にあります。
それぞれの専門分野に特化した、詳細なサポートを受けられる可能性があります。特定の専門分野のコンサルタントを依頼したい場合は、無料コンサルティング会社でも十分なサポートを受けられるでしょう。
クリニック開業コンサルティングのサポート内容
クリニック開業コンサルティングのサポート内容は、大きく開業前と開業後のコンサルティングに分かれます。
基本的には院長や経営者である医師が、計画や戦略などの意思決定を行います。コンサルタントはその意思決定をサポートし、開業前後のスムーズな経営と運営に携わることが一般的です。
まずは、開業前コンサルティングのサポート内容を解説します。
開業前コンサルティング
開業前コンサルティングは、主に以下5つのサポート内容に分かれます。
コンセプトの企画
経営戦略の企画
事業計画の企画
人材計画の企画
広報戦略の企画
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1. コンセプトの企画
クリニックのコンセプトは、自院がどのようなクリニックであるかを端的に表現するものです。例えば、次のような内容を盛り込むのが一般的です。
どのような診療方針で医療を提供しているか
患者や地域にどのように貢献したいか
コンセプトが明確になると、次の4つの効果が期待できます。
患者にとってどのようなクリニックか分かりやすくなる
方針が定まり、運営に必要なものが見えやすくなる
スタッフと同じ志を持ちながら診療が行いやすくなる
路頭に迷った際にも、コンパスとして機能する
このように多くのメリットがあり、コンセプトの企画は重要な業務です。
コンサルティングでは医師がどのような思いを持って開業するのかを深く理解し、自分自身が気づかない要素まで汲み取ってコンセプトの企画に反映します。
2. 経営戦略の企画
グロービス経営大学院のMBA用語集では、経営戦略の定義を「企業の持続的競争優位を確立するための基本的な考え方」としています。
これをクリニックに置き換えると、地域の競合クリニックに対して自院を優位に立たせるための戦略が経営戦略です。この戦略を立てるためには、マーケティングの知識が欠かせません。たとえば、次の5つの分析手法が用いられます。
PEST分析(マクロ環境分析):政治・経済・社会・技術のマクロ環境を分析
5F分析(ファイブフォース):競争の強さを決定する5つの要因を分析
3C分析:顧客・競合・自社の3つの視点から分析
VC分析:バリューチェーンを分析し、付加価値を高めるポイントを特定
7S:組織の要素を7つの視点で分析
これらを徹底的に分析するためには、マーケティングに精通した人材が必要です。
クリニック開業コンサルティングでは、会社により能力の差異はありますが、一定以上のマーケティング能力が担保されているといえるでしょう。
このようにして立てられた経営戦略によって、クリニックと経営の成功が結びついていきます。
3. 事業計画の企画
事業計画の企画は、事業計画書の作成に必要不可欠です。
事業計画書は、開業後の資金繰りの適正化や、融資を受ける際にも重要な書類です。綿密な計画を立てることで、カルテシステムなど医療機器や備品のコストを予測し、導入をスムーズに進められるでしょう。
独力での事業計画の作成は慣れない場合が多く、時間がかかりやすい作業です。しかし、クリニック開業コンサルタントのサポートを受けることで、無駄のない最適な資金繰りが可能になるでしょう。
4. 人材計画の企画
人材雇用のためには、採用計画を練ることが重要です。採用計画を基に人材を採用しなければ、クリニックのコンセプトに沿わない人材を採用してしまい、長期的な人材雇用につながらない可能性があります。
採用計画には、次のポイントを考慮します。
クリニックのコンセプト
診療時間
3C分析:顧客・競合・自社の3つの視点から分析
休診日
賃金
これらの要素をもとに、次のような媒体を利用し、求人募集を行うのが一般的です。
クリニックのホームページ
診療時間
ハローワーク・求人誌・チラシ
人材派遣・紹介会社
スカウト
これらのプロセスを医師だけで行うのは、負担が大きいでしょう。
そこで、コンサルティングでは可能な限り先生の負担を減らせるよう、人材計画作成のサポートを行います。
5. 広報戦略の企画
クリニックの広報は開業後に行うものと思われがちですが、実際には開業前から広報活動は十分に行えます。開業前から広報戦略を練ることで、クリニックの認知度を高め、スムーズな開業を実現できるでしょう。
広報には、次の4つの手法がよく用いられます。
内覧・見学会
チラシ・パンフレット
クリニックホームページ
その他(駅広告、セミナーの開催など)
特にクリニックのホームページは、開業後に継続的な集患を生み出すための大きな柱となります。クリニック開業コンサルティングでは、ホームページ制作をはじめ、その他の広報活動の戦略から実施まで幅広くサポートが可能です。
開業後コンサルティング
開業後コンサルティングでは、開業前に計画した戦略を実行に移し、その業務の改善を中心にサポートを行います。
開業前コンサルティングで立案した経営戦略に基づき、開業後も継続的に分析をしたり、増患対策や成長戦略を検討したりなど、より黒字化へ向けて働きかけていきます。
もちろん、経費削減の方法や新しいシステムの導入を提案し、患者満足度を向上するための施策も開業後コンサルティングの業務範囲です。
最終的には事業継承など医師人生の終幕までを視野に入れてサポートするため、コンサルタントはクリニックの経営において信頼できる非常に頼もしい存在となるでしょう。
クリニック開業コンサルティング会社に依頼するメリット
クリニック開業にあたって、コンサルティング会社に依頼するメリットは以下の点が挙げられます。
専門的な意見が得られる
医師本来の業務に注力できる
開業後のサポートを受けられる
専門的な意見が得られる
一般的にクリニック開業コンサルティング会社は、クリニック開業や医療業界についての知識や経験が豊富です。土地の選び方や集患戦略など、開業のプロとしての視点で相談に乗ってくれます。
そのため、自分ひとりでは思いつかなかった企画・戦略を共有してもらえ、開業に向けてベストな選択ができるでしょう。
医師本来の業務に注力できる
院長や経営者である医師が開業時に自ら意思決定をする必要があるのは、クリニックのコンセプトを考えたり、スタッフの採用をしたりすることです。
ただし、医師が必ずしも注力する必要はないことも多くあります。たとえば、次のことが挙げられます。
内装工事のやりとり
機器選定の日程調整
マーケティング戦略など
こういった業務は、開業コンサルタントのサポートを受けることで、医師が本来の業務に集中できるようになるでしょう。
開業後のサポートを受けられる
クリニック開業コンサルティング会社は開業前のサポートだけではなく、開業後もサポートを行ってくれる場合が多くあります。
開業してまもなくはスタッフが少なく、医師自身も新しい業務に慣れるまで時間がかかります。その間、コンサルティング会社にさまざまな業務を依頼することで、安心して診療を行えるでしょう。
クリニック開業コンサルティング会社に依頼するデメリット
クリニック開業コンサルティング会社に依頼する場合、メリットだけでなく以下のようなデメリットもあります。
コストがかかる
自分の理想に合わない場合がある
コストがかかる
有料コンサルティングを利用する場合には、当然ながら費用が発生します。会社によっては高額になる場合もあり、開業予算に大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
そのため、開業予算と自院に必要なサポート内容を慎重に見極め、適切なコンサルティングを依頼することが大切です。
自分の理想に合わない場合がある
開業したいと考えていた当初の理想と、コンサルティングで提案された内容との間に齟齬が生じる場合があります。
コンサルタントは相談のプロでもあり、その提案には説得力があるため、医師自身の理想から提案された内容に揺らいでしまうことも全くないとはいえません。
医師自身も情報収集を怠らず、常にコンサルタントと対等な立場で意思疎通を図ることが重要です。
クリニック開業コンサルティング会社の選び方
クリニック開業コンサルティング会社は数多く存在し、サポート内容も似通っているため、選択が難しいこともあるでしょう。ここでは、会社を選ぶ際のポイントとして、次の3つを紹介します。
実績があるか
信頼関係を構築しやすいか
サポート内容と料金が自院に適しているか
それぞれ順番に見ていきましょう。
1. 実績があるか
会社比較をする際は、実績を確認することが大切です。
コンサルティングがメインの会社でも、医療業界の実績が少なければ十分なサポートを受けられない可能性が高くなります。
次の2点をポイントとして押さえておきましょう。
開業予定先のエリアでサポート実績があるか
希望診療科でのサポート実績があるか
これらの実績をしっかりとヒアリングし、自院に適したコンサルティング会社を選ぶことをおすすめします。
2. 信頼関係を構築しやすいか
クリニック開業の前後でサポートを受けるにあたって、信頼関係を築けるかどうかがクリニックの成功への大きな鍵となります。
特に、次の3つを念頭に置くことが重要です。
自分と価値観が合うか
クリニックの理念を大切にしてくれるか
コミュニケーション能力は十分にあるか
価値観が合わない、理念を大切にしてくれない、あるいは連絡が遅いなどのmんだいがある場合、サポートを受けている間、ストレスを抱え続けることになりかねません。信頼に値する相手かどうか、十分に見極めましょう。
3. サポート内容と料金が自院に適しているか
サポート内容や料金は、会社により大きく異なります。
クリニック開業コンサルティング会社には無料と有料があり、それぞれ違いがあります。
部分的に開業サポートを受けたい場合は、費用を抑えられる無料コンサルティングが非常に有効でしょう。
医業に集中し、安心して開業を迎えたい場合は、有料コンサルティングが適しています。有料コンサルティングは一括サポートだけではなく、部分的なサポートも依頼可能です。
可能な限り多くの会社を比較し、自院に適したサポート内容と料金であるかを慎重に検討しましょう。
まとめ
クリニック開業コンサルティング会社は、開業を考える医師にとって、心強い存在です。しかし、各社が提供するサポート内容や費用は異なるため、ポイントを押さえていくつかの会社を比較検討し、自院に適したサービスを選ぶことが重要です。
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