電子カルテとは?普及率や3原則、導入するメリット・デメリットを解説 / エムスリーデジカル株式会社

電子カルテとは?普及率や3原則、導入するメリット・デメリットを解説

2023年9月6日

電子カルテとは?普及率や3原則、導入するメリット・デメリットを解説

DX推進などの時代の変化とともに、医療業界でも電子カルテの導入が進んでいます。電子カルテの導入を検討している、電子カルテに関心がある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、電子カルテとは何か、普及率や導入するメリット・デメリットを解説します。

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目次

電子カルテとは

電子カルテとは、これまで医師が診療の経過を記入していた紙カルテや各種検査結果を、電子データとして一元化する医療情報システムです。患者個人につき、以下のようなデータを一元化できます。

  • 医事データ

  • 問診記録

  • 検査データ

  • 診断病名

  • 処置記録

  • 投薬記録

  • 栄養データ

  • 入院データ

  • 手術データ

  • 患者記録

  • リハビリ記録 など

電子カルテは、単純に診療録を作成するだけではありません。電子カルテのメーカーによって連携できる機器や機能は異なるものの、検査オーダーや会計計算、処方箋や診断書の発行など、オーダリングシステムを含め、診療上のさまざまな機能が組み込まれていることが多いので、利便性が高いです。

電子カルテの保存期間

日本において、診療録の保存期間は「5年間」と定められています(保険医療機関及び保健医療担当規則第9条)。診療録とはカルテのことを指し、紙カルテ、電子カルテいずれにも該当します。

ただし、治療を継続している間は5年間にカウントされません。つまり、治療完結の日から5年間となるため、注意が必要です。

また、患者の診療録(カルテ)以外の書類や記録は、3年間保存するよう定められています。カルテ以外の書類や記録とは、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 手術記録

  • 処方箋

  • レントゲン写真など

参考: 保険医療機関及び保健医療担当規則第9条

電子カルテが満たすべき3つの原則とは

厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版」において、電子カルテ導入の際、以下3つの基準を満たすよう求めています

真正性 正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去及び混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であること
見読性 必要に応じ電磁的に記録された事項を出力することにより、ただちに明瞭かつ整然とした形式で使用に係る伝計算機その他の機器に表示し、及び書面を作成できるようにすること
保存性 電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中において復元可能な状態で保存することができる措置を講じていること

参考: 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版

電子カルテの普及率

厚生労働省が発表した電子カルテの普及率の推移は、以下の表の通りです。

年度 病床規模別 一般診療所
400床以上 200〜399床 200床未満
平成20年 14.2% 38.8% 22.7% 14.7%
平成23年 21.9% 57.3% 33.4% 21.2%
平成26年 34.2% 77.5% 50.9% 35.0%
平成29年 46.7% 85.4% 64.9% 41.6%
令和2年 57.2% 91.2% 74.8% 49.9%

参考: 電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省

調査によると、令和2年度の電子カルテの普及率は一般病院で57.2%でした。そのうち、400床以上の病院では91.2%と高く、ほとんどの大病院が電子カルテを導入しているのが分かります。その一方で、200床未満の病院では48.8%、一般診療所で49.9%と、半数以下にとどまっています。

中小規模の病院において、電子カルテの普及が進まない要因の1つに、コスト負担が大きいことが考えられます。

電子カルテの種類

電子カルテの種類には、主に以下2つがあります。

  • オンプレミス型

  • クラウド型

それぞれ、違いや特徴を解説します。

オンプレミス型

オンプレミス型は、院内にサーバを設置するタイプの電子カルテで、院内でのデータ管理が容易にできるといった特徴があります。

クラウド型に比べ、自院に合わせたカスタマイズや、周辺システムとの連携がしやすいといったメリットがあります。その反面、導入費用が高く、サーバー設置やメンテナンスにコストがかかる、院内でしか電子カルテを利用できない、停電時に使用できないといった点がデメリットだと言えるでしょう。

クラウド型

クラウド型は、インターネットが使える環境であれば、院外でも使用できるのが最大の特徴です。どこでもカルテの閲覧や書き込みができるため、訪問診療や訪問看護などにも活用できます。

院内にサーバを設置する必要がないため、メンテナンスの作業時間やトラブル対応の手間が削減できるでしょう。また、オンプレミス型に比べ、初期費用を抑えられます。その一方で、サーバ側のトラブルによって利用できなくなったり、インターネットに接続できない環境では使用できなかったり、機能が制限される点がデメリットだといえるでしょう。

電子カルテのメリット

電子カルテには、以下4つのメリットが挙げられます。

  • 業務効率化が図れる

  • データ共有ができる

  • 医療ミスの防止につながる

  • 保管スペースが削減できる

それぞれ解説します。

業務効率が図れる

電子カルテの導入によって、診療における医師の業務だけでなく、看護師や事務スタッフなどの業務効率化が図れます。 紙カルテの場合、一度記した記載を直す手間がかかったり、他のスタッフが閲覧している間は使えなかったりする場合があります。電子カルテであれば、メーカーによって機能は異なりますが、複数のPCで同時閲覧できるケースも多いので、こういった問題が解決され、スタッフの業務負担軽減につながるでしょう。
また、電子カルテには、診断書や紹介状などの書類テンプレートが組み込まれているため、書類作成の時間短縮につながります。

データ共有ができる

電子カルテは、診療情報をデータとして一元化できるため、複数の人とデータ共有が可能です。
外来の受付で、新規患者の氏名や住所、症状などを事務スタッフが電子カルテに入力すれば、医師の待機時間が短くなり、スムーズに診療が開始できるでしょう。
また、患者が検査を行った場合、紙カルテでは検査結果の転記や貼り付けなどの作業が発生いたしますが、電子カルテと検査機器を連携している場合即座に検査結果を電子カルテ上に取り込むことができます。

医療ミスの防止につながる

電子カルテは、医療ミスの防止につながる可能性があります。電子カルテは、従来の紙カルテのように「字が読みづらい」ことがありません。そのため、判読ミスや転記ミスによる医療事故などを回避しやすくなります。
また、電子カルテによっては、患者のアレルギーや使用禁忌などの情報を入力しておけば、対象の薬剤を処方するとアラート表示されるものがあります。電子カルテを活用することで、投薬ミスの防止にもつながるでしょう。

保管スペースが削減できる

電子カルテを導入することで、院内のスペースを有効活用できます。
紙カルテでは、保存期間が3〜5年間と定められているため、現在通院していない患者であっても、院内の保管スペース確保が必要です。診療経過が長い患者の場合、カルテが分厚くなったり、分冊したりしなければなりません。
電子カルテであれば、パソコンやタブレットにデータが一元化できるため、保管スペースの削減につながるでしょう。また、長年の保管に伴う劣化がない点もメリットだといえます。

電子カルテのデメリット

電子カルテにはメリットがある一方で、以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 運用コストがかかる

  • 停電時に利用できないケースがある

  • 電子カルテに運用を合わせる必要がある

  • 情報流出などセキュリティ面に不安がある

それぞれ解説します。

運用コストがかかる

電子カルテのデメリットの1つとして、運用コストがかかる点が挙げられます。
オンプレミス型電子カルテの場合、院内にサーバーを設置する必要があるため、導入費用に約300万〜500万円程度かかるとされています。さらに、保守費用やシステム更新費などのほか、電気代も必要です。
その一方で、クラウド型電子カルテはオンプレミス型に比べて、導入コストや維持費を抑えられます。クラウド型の初期費用相場は約10万円、月額利用料は数万円です。
コスト面で電子カルテの導入を見送っている場合、クラウド型を検討してみる価値はあるでしょう。

停電時に利用できないケースがある

電子カルテはパソコンやタブレットを使用するため、停電などで電気が止まってしまった場合、利用できないケースがあります。また、停電以外に通信障害が起きた場合なども、電子カルテが使えなくなるリスクが考えられるでしょう。
万が一、停電などによって電子カルテが使えなくなった時に備えて、カルテ入力や会計など、紙カルテで行えるよう対策が必要です。
電子カルテによっては、モバイル端末で過去カルテの確認ができるなど、災害時等の対策機能を持っている製品もあります。こういった緊急時対策機能を備えているかどうか、という観点も重要な選択基準となります。

システムに慣れる必要がある

電子カルテのデメリットとして、システムに慣れるまでに時間がかかる点が挙げられます。
医療現場によっては、デジタルツールの扱いが苦手なスタッフがいることも考えられるでしょう。電子カルテはメーカーによって操作方法が異なるため、経験者でも慣れるまでに時間がかかるケースは少なくありません。
そのため、電子カルテを導入する前に操作方法を習得する期間を設けたり、導入後もサポート体制の万全なメーカーを選んだり、といった配慮が必要です。

電子カルテの運用を合わせる必要がある

電子カルテの導入によって、これまでの運用を電子カルテに合わせなければならないケースがあります。
例えば、カルテの記録、次回の診療予約や診療情報提供書など、これまでの入力形式とは異なる場合が考えられます。電子カルテに対応していない帳票類を使用している場合、そのまま紙で運用してスキャナで取り込んだり、代替え案を検討する必要があるでしょう。

情報流出などセキュリティ面に不安がある

電子カルテの導入によって、情報流出などセキュリティ面に不安があることがデメリットの1つです。
電子カルテは、紙カルテに比べてデータ共有がしやすい反面、院内のどこからでも患者情報を閲覧できます。そのため、院内スタッフに対し、定期的な注意喚起や教育が必要となります。
また、外部からの不正アクセス防止のためにも、常にセキュリティ対策を行う必要があるでしょう。

まとめ

電子カルテは、業務効率化や医療ミス防止などにつながりやすいといったメリットがある反面、運用コストがかかる、停電時に使えなくなるリスクがあるといったデメリットもあります。
弊社では、クラウド型電子カルテのM3デジカルを提供しています。5,000施設以上の導入実績、100以上のサービス・機器と連携実績があり、利用環境に合わせたご提案が可能です。カルテ単体では初期費用無料、月額11,800円(税抜)から利用開始できます。デジカルは1人でも簡単に導入でき、サポート体制も万全です。無料体験も可能ですので、お気軽にご相談ください。

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