電子カルテとレセコン(レセプトコンピューター)の違い|連携のメリットと一体型について
2023年11月13日
電子カルテとレセコン(レセプトコンピューター)は、ともに医療機関において大切なシステムです。医療DXが推進される日本において、多くの医療機関や薬局などでレセコンが導入されつつあります。
今後、電子カルテやレセコンの導入を検討しているものの、レセコンとは一体どういうものなのか、電子カルテとの違いや連携方法などがよく分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、電子カルテとレセコンの違い、連携型・一体型について解説します。電子カルテと連携するメリットもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
目次
電子カルテとは
電子カルテとは、これまで紙カルテに記入していた診療経過や各種検査結果などを、電子データとして一元化する医療情報システムです。主に、以下のようなデータを一元化できます。
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医事データ
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問診記録
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検査データ
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診断病名
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処置・投薬記録
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入院データ
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手術データ
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患者記録
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リハビリ記録 など
電子カルテは、紙カルテのように保管や収納スペースを必要としません。膨大な量のカルテを電子化して保管し、必要な情報を簡単に探し出せます。また、オーダリングシステムや各種検査機器を連携させることもでき、院内のさまざまな業務効率化につながります。
さらに、アレルギー情報や他の医療機関で処方された薬剤などの情報を入力しておけば、投薬ミスや医療事故防止にも役立つでしょう。
レセコン(レセプトコンピューター)とは
レセコン(レセプトコンピューター)とは「診療報酬明細書(レセプト)」を作成するシステムのことです。レセプトは、医療機関が健康保険組合に医療費を請求するために月に1回発行される診療報酬明細書で、患者情報や提供した医療行為などが保険点数で記載されています。
レセコンは、受付や会計などの医療事務スタッフが使用するのが一般的です。インターネットが使用できる環境であれば、どの医療機関にも導入でき、主に以下のような目的で使用されます。
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受付
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会計
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診療内容の入力
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保険点数の自動計算
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窓口会計の計算
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処方箋の発行
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薬剤情報の発行
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領収書の発行
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レセプト作成・請求
データを分析し、経営状況のレポート作成機能を有するレセコンもあり、経営分析に活用することも可能です。
レセコンの普及率
厚生労働省の令和5年3月診療分「電子レセプト請求状況」によると、病院・診療所・調剤薬局でのレセコンの普及率は96.2%となっており、ほとんどの機関で普及が進んでいるのが分かります。特に、400床以上の大規模病院での普及率は99.3%、調剤薬局では99.1%と、ほぼ全ての機関で導入されている状況です。
レセプト請求形態別の請求状況(令和5年度)
レセコンの種類
レセコンは「ORCA」と「それ以外のメーカーが開発したレセコン」の2種類に分けられます。
「ORCA」は、医療のIT化や医療情報の標準化を進めるための1つの手段として、日本医師会が開発した「日医標準レセプトソフト」です。全国の医師や医療機関の誰もが無料で使用、改良できるよう、オープンソース方式でプログラムが公開されています。ソフトウェアは無償で提供されており、いつでも最新版に更新されています。ORCAのベンダーは複数存在し、それぞれサポート体制が異なります。
一方、ORCA以外のレセコンメーカーは数十社あり、自社がベンダーであることが大半で、それぞれ機能や特徴、サポート内容は異なります。
電子カルテとレセコンの違い
電子カルテとレセコンの違いは、主に「使用目的」と「取り扱う人」にあります。
電子カルテ | レセコン | |
---|---|---|
使用目的 | 診療内容を電子データで管理する | 会計情報を管理し診療報酬を請求する |
取り扱う人 | 医師・看護師・検査技師・薬剤師など | 医療事務 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
使用目的の違い
電子カルテとレセコンは、使用目的に違いがあります。
電子カルテは、患者の診療経過や検査結果などの診療内容を電子データとして一元化し、管理、保存することが目的の1つです。また、情報を一元化しデータ共有することで、質の高い医療を提供することも電子カルテの目的とされます。
一方、レセコンは、会計情報を管理し、診療報酬の請求を行うために使用されるシステムです。記入漏れを自動で点検したり、診療報酬の点数を正しく計算したりするために使われます。
取り扱う人の違い
電子カルテとレセコンは、取り扱う人にも違いがあります。
電子カルテは、主に患者の診療内容を記載するため、使用するのは医師が中心です。病棟などで入退院の記録をしたり、看護記録を入力したりする場合、看護師も使用する頻度が高いといえるでしょう。そのほか、検査技師や薬剤師なども取り扱うケースがあります。
一方、レセコンを取り扱うのは、主に会計情報を管理する医療事務や会計士などです。病院やクリニックでは、受付や会計窓口を担当する医療事務、調剤薬局では事務スタッフなどが使用します。
電子カルテレセコン連動型・一体型とは
電子カルテのシステムは、レセコン連動型とレセコン一体型の2つのスタイルがあります。それぞれの特徴やメリットはどういったものか、詳しく解説します。
電子カルテ・レセコン連動型
連動型は、電子カルテとレセコンがそれぞれ別々になっているシステムのことです。どちらか一方を導入している場合、新たにもう一方を追加すればよいため、導入費用を抑えることができます。
例えば、レセコンがORCAの場合、システムと連携できる電子カルテは複数存在するため、レセコンと連動できるタイプのものであれば、好みのメーカーの電子カルテを接続できます。また、電子カルテのみ乗り換えたい場合も、レセコンは既存のものを使い続けることも可能です。
電子カルテ・レセコン一体型
一体型は、電子カルテとレセコンが1つになっているシステムのことです。電子カルテとレセコンが同じ情報を一元化できるため、入力の手間が省け、業務効率化につながります。
ただし、新たなシステムを導入する際、電子カルテ、レセコンの両方を入れ替えなければなりません。
電子カルテとレセコンを連携する3つのメリット
電子カルテとレセコンは単体でも使用できますが、連動型もしくは一体型を使用することで、より効果が期待できます。ここでは、2つのシステムを連携することによるメリットをお伝えします。
業務負担を軽減できる
電子カルテとレセコンの連携により、日々の業務負担が軽減できます。医療機関に訪れる新患の登録や、診療内容の確認、会計作業など、一つひとつの作業によって、患者を待たせる時間短縮にもつながるでしょう。紙カルテの場合、記載している内容が読み取りずらく、医師に確認しなければならないケースも少なくありません。電子カルテを導入し、レセコンと連携させることで、確認作業の業務負担軽減につながるでしょう。
レセプト作成の効率化につながる
電子カルテとレセコンの連携によって、レセプト作成の効率化につながります。レセプトの作成には、医師が記入した診療記録をもとに、行った処置や処方内容など、さまざまな情報を入力しなければなりません。電子カルテとレセプトを連携させることで、カルテの情報を改めて入力する手間と時間を省けます。
入力ミスの防止につながる
電子カルテとレセコンが連動することで作業量が減り、入力ミスの防止につながります。人の手による入力作業には、打ち間違いや確認不足などのエラーが生じる可能性があります。しかし、レセプトを作成する際、カルテ情報の入力作業を省くことができるため、入力ミス防止につながりやすくなります。記入漏れを自動で点検する機能があれば、診療報酬計算の精度が高まり、ミス防止に役立つでしょう。
電子カルテとレセコンを連携するデメリット
電子カルテとレセコンの連携によるメリットもありますが、その反面、デメリットもあります。
電子カルテとレセコンを連携すると、1つのシステムで作動しているため、障害が発生した場合、どちらも動作しなくなってしまう可能性があります。電子カルテ、レセコンいずれも使用できなくなると、診療に大きな影響が出るリスクはゼロではありません。
デメリットを最小限にするため、バックアップをこまめに取り、別のデバイスから確認できるようにしておくことや、一時的に使用できるような仕組みを構築しておくことが大切です。
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まとめ
国では医療DXを推進しており、今後、電子カルテの導入はますます加速すると見込まれます。医療機関や診療薬局において、レセコンの普及率は96.2%と導入が進んでおり、電子カルテとの連携によってレセプト作成の効率化や、より質の高い医療の提供につながるでしょう。
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