【2023年最新】電子カルテ導入で利用できる補助金とは?条件・手順を解説 / エムスリーデジカル株式会社

【2023年最新】電子カルテ導入で利用できる補助金とは?条件・手順を解説

2023年11月28日

【2023年最新】電子カルテ導入で利用できる補助金とは?条件・手順を解説

※本記事の内容は2023年11月15日時点での情報となります。

電子カルテ導入に活用できる補助金には「IT導入補助金2023」があります。

厚生労働省は、データヘルス改革の一環として、全国で医療情報を確認できる仕組みの構築を進めており、2024年度から順次稼働開始する方針です。また、2030年には全ての医療機関での導入を目指しています。

政府の医療DX推進に伴い、今後も電子カルテの必要性は、ますます高まりをみせるでしょう。

本記事では、電子カルテ導入に活用できる補助金の種類や申請条件、申請手順を解説します。

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目次

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の生産性の向上を目的としてITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する際、経費の一部を支援する補助金です。

補助金の対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は、事務局の審査を受け、IT導入補助金の公式サイトに登録されているものとなります。登録されていない場合、補助金の対象外となるため、他のITツールを検討する必要があります。

なお、補助金の対象には、相談対応等のサポート費用やクラウドサービスも含まれます。

電子カルテ導入に活用できるIT導入補助金

電子カルテ導入に活用できるIT導入補助金は、以下3つです。

導入枠 補助率・補助上限額 概要
通常枠(A・B類型) A類型
  • 補助率1/2以内

  • 5万円以上150万円未満

事業の生産性や経営力の向上を目的にITツールを導入する際に申請可能
B類型
  • 補助率1/2以内

  • 150万円以上450万円以下

セキュリティ対策推進枠
  • 補助率1/2以内

  • 5万円以上100万円以下

サイバー攻撃の被害による潜在的な生産性低下を防ぐとともに、セキュリティ対策強化の目的でITツールを導入する際に申請可能
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) ソフトウェア
  • 補助率2/3〜3/4以内

  • 50万円超350万円以下

ハードウェア
  • 補助率1/2以内

  • 10万〜20万円以下

会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化し、労働生産性の向上、インボイス制度も見据えたデジタル化を進めるためにITツールを導入する際に申請可能

出典: IT導入補助金2023

それぞれ詳しく解説します。

通常枠(A・B類型)

補助率 補助上限額
A類型 1/2以内 5万円以上150万円未満
B類型 1/2以内 150万円以上450万円以下

電子カルテは、診療行為を含む業務効率化や生産性の向上につながるITツールなので、通常枠(A・B類型)の利用が可能です。

補助金申請額によってA・B類型の2つに分けられており、ソフトウェア費・導入関連費・クラウド利用料(最大2年分)の2分の1が補助されます。そのため、電子カルテ導入費用は、ほぼ半額になると考えられます。ただし、PCやタブレットなどのハードウェアは対象外です。

IT導入支援事業者が登録しているITツールを導入すること、交付決定前に契約・導入した費用は補助対象外、などの申請条件があるので注意しましょう。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

補助率 補助上限額
ソフトウェア等 3/4以内 〜50万円以下
2/3以内 50万円超350万円以下
ハードウェア PC・タブレット等 1/2以内 10万円以下
レジ・券売機等 1/2以内 20万円以下

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトが補助の対象です。電子カルテの導入する際、レセコンに関連した会計機能や、オンライン診療に紐づいた決済システムなどを搭載している場合、申請できる可能性があります。

通常枠では対象外だったハードウェアも、補助の対象となります。
※電子カルテなどの通過率は3割程度と言われています。

セキュリティ対策推進枠

補助率 補助上限額
サービス利用料の1/2以内 5万円以上100万円以下

近年、医療機関においてもランサムウェアによるサイバー攻撃のリスクが懸念されています。電子カルテの導入にあたって、サイバー攻撃被害による生産性の低下を防ぐとともに、セキュリティ対策を強化する必要があります。

IT導入補助金を活用するための申請条件

IT導入補助金を活用するためには、以下の申請条件を満たすことが必要です。

  • 常時使用する従業員の数が300人以下の医療法人、社会福祉法人の医療機関である

  • 交付申請時点において、日本国内で事業を営む法人又は個人である

  • 交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上である

  • gBizID プライムを取得している

  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」又は「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと。また、宣言内容の確認に際し事務局が一部の交付申請情報をIPAと共有することに同意すること

  • 交付申請に必要な情報の入力、書類の書類を必ず提出する

  • 交付申請の際、1 申請者につき、必ず申請者自身が管理する 1 つの携帯電話番号を登録する。また、登録された携帯電話番号に対し事務局からの連絡があった際には応じる

  • 補助事業の実施により労働生産性の伸び率の向上について、以下の数値目標を作成する

  • 1年後の伸び率3%以上、3年後の伸び率9%以上を目標とした計画
  • IT導入支援事業者と確認を行ったうえで、生産性向上に係る情報を事務局に報告する

  • 事例の調査に協力する

  • 申請マイページに係るログインID及びパスワードは、責任をもって適切に管理する

  • 訴訟や法令遵守上において、補助事業の遂行に支障をきたすような問題を抱えていない

  • 「虚偽の申請」や「利害関係者への不当な利益配賦」など問題を抱えていない

  • 中小企業庁が実施するデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行っている

上記以外にも、申請条件は詳細に定められているため、公式サイトで確認してみましょう。

IT導入補助金の申請手順10ステップ

IT導入補助金を活用する際、大前提として公式サイトの交付規程・公募要領を読み、補助事業について理解することが求められています。

その上で、以下の手順にしたがって申請を行いましょう。

1. 「gBizIDプライム」アカウントを取得する

まずは、gBizIDプライムアカウント(ID・パスワード等)の取得が必要です。

「gBizID」ホームページにログインし、手順に沿ってアカウントを取得します。gBizIDプライムアカウントIDが発行されるまで、おおむね2週間ほどかかります。補助金申請の時期に合わせ、余裕を持って手続きしましょう。

2. 「SECURITY ACTION」の宣言をする

補助金申請には、「gBizIDプライム」アカウント取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言済みID入力が必要です。

「SECURITY ACTION」は、中小企業・小規模事業者等が、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度のことで「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が要件となります。

3. 「みらデジ経営チェック」を実施する

補助金申請の際、「みらデジ」において「みらデジ経営チェック」を行う必要があります。

「みらデジ」は、中小企業庁が実施する中小企業・小規模事業者等の経営課題を、デジタル化によって解決することをサポートする制度です。「みらデジ」にログイン後、gBizIDで登録し、手順に従って「経営チェック」を行いましょう。

経営チェックを行わなければ、申請要件を満たさず不採択となってしまいますので注意が必要です。

4. IT導入支援事業者とITツールを選定する

自院の業種・診療方針・事業規定や経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。

IT導入支援事業者・ITツール検索は、こちらから行います。法人名・幹事社名・ツール名が分かれば、検索窓に入力しましょう。例えば、ツール名「電子カルテ」と入力すると、電子カルテメーカーの一覧が表示されます。

5. 交付申請をする

IT導入支援事業者とITツールを選定したのち、IT導入支援事業者と商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。

交付申請の流れは、以下の通りです。

  1. IT導入支援事業者からの「申請マイページ」招待

  2. 代表者氏名等の申請者基本情報を入力

  3. 交付申請に必要となる情報入力・書類添付

  4. 導入するITツール情報、事業計画値を入力(IT導入支援事業者)

  5. 「申請マイページ」入力内容の最終確認

  6. 申請に対し、宣誓を行い事務局へ提出

6. 交付が決定される

事務局から、交付申請の結果が申請マイページに通知されます。また、IT導入補助金のホームページ上でも公表されます。ただし、審査内容や不採択の理由については開示されません。

7. 電子カルテの発注・契約・支払い等を行う

事務局からの交付決定通知を受けたのち、ITツールの発注・契約・支払い等を行うことができます。なお、交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合、補助金の交付を受けられないため、注意が必要です。

8. 実績報告をする

補助金の交付を受けた場合、6ヶ月間程度の実績報告が必要です。ITツールの発注・契約・支払いなど、請求書や支払いが完了したことがわかる証拠も提出します。

主に、以下の実績報告を行います。

  1. ITツールの契約・発注日

  2. ITツールの納品・導入日

  3. ITツールの代金支払日

9. 補助金が交付される

実績報告が完了し、補助金額が確定します。「申請マイページ」で補助金額を確認しましょう。申請マイページで確認後、補助金が交付されます。

10. 事業実施効果報告をする

補助金の交付を受けた場合、定められた期限内に「事業実施効果報告」を行わなければなりません。「申請マイページ」で必要事項を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て、提出しましょう。

交付申請に必要な書類

IT導入補助金の交付申請時に必要となる資料は、以下の通りです。

法人の場合
  • 実在証明書

  • 履歴事項全部証明書
    ※発行から3ヶ月以内のもの

  • 事業実態確認書類

  • 法人税の納税証明書
    ※税務署で発行された直近分

個人事業主の場合
  • 本人確認書類

  • 運転免許証(有効期限内のもの)

  • 運転経歴証明書若しくは住民票
    ※発行から3ヶ月以内のもの

  • 事業実態確認書類1
    ※税務署で発行された直近分の所得税の納税証明書

  • 事業実態確認書類2
    ※税務署が受領した直近分の確定申告書の控え

IT導入補助金を活用する際の注意点

IT導入補助金を活用するにあたり、以下の点に注意が必要です。

交付決定前の費用は補助金の交付を受けられない

補助金の交付決定前に発注・契約・支払い等を行った費用は、補助金の交付を受けることができません。契約・発注は全ての手続きの中で先立って行われる必要があるとされています。

契約・発注よりも前に納品・導入・代金の支払いが確認された場合は、補助金の交付決定が取消される場合があります。また、契約・発注前にIT導入支援事業者から請求手続きが行われている場合も、交付決定の取消しとなる場合があるため、注意しましょう。

IT導入補助金2022申請者・交付済みの場合は申請不可

2022年度の通常枠(A・B類型)およびデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)で交付決定を受けている場合、交付決定日から12ヶ月以内は、IT導入補助金2023の通常枠(A・B類型)の申請ができません。

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まとめ

電子カルテの導入には、IT導入補助金が活用できます。政府が推進する医療DXの一環として、全国的に電子カルテ情報を共有できる仕組みも整備されつつあります。時代の流れに則し、質の高い医療を提供するためには、電子カルテの導入を検討する必要があると考えられるでしょう。

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