クリニック開業資金はいくらかかる?費用の目安や内訳・調達方法を解説
2024年4月4日
クリニックの開業を検討しているものの、自己資金や開業資金はどの程度必要なのか気になる方は多いのではないでしょうか。
クリニックの開業資金は、開業形態や診療科目などによって異なります。
この記事では、クリニック開業に必要な自己資金や診療科目別の開業資金の目安をお伝えします。開業資金を抑える方法も解説するので、参考にしてください。
クリニック開業に必要な自己資金の目安
クリニックを開業する際、融資を受けることも可能ですが、自己資金もある程度は必要です。
開業する形態や診療科目などによって異なりますが、開業資金の1〜2割を目安に自己資金を準備しておくと安心でしょう。
一般的なクリニックであれば、開業資金は5,000万~1億円程度と言われているので、1,000万円程度が一つの目安になるかと思います。
とはいえ、自己資金が少ないからといって、開業できないとは限りません。自己資金をある程度準備できていれば、金融機関などから融資を受ける場合に有利となる可能性は少なくありません。また、開業後の経営負担の軽減にもつながるでしょう。
※大前提として、開業費用は土地の選定、機器の選定等によっても大きく異なりますので、あくまで一つの目安としてご認識ください。
クリニック開業資金の費用内訳
クリニック開業に必要な費用には、主に以下のような項目があります。
敷金・礼金
仲介手数料
前家賃
内装工事費
診療設備費
医療機器購入/リース費
什器費
OA機器購入費
消耗品費
集患・広告費
採用・研修費
医師会諸経費
その他備品費
固定費(賃料・人件費)など
開業する場所によって物件の費用は異なり、戸建てや医療モールなどに比べてテナントの開業では、敷金・礼金などの費用を抑えられるでしょう。といっても、開業するエリアによって条件は異なります。
クリニック開業では、運転資金も忘れてはなりません。開業してしばらくは、患者数を獲得できない可能性があり、診療報酬の入金も数ヶ月後となります。
経営が軌道に乗るまでは、運転資金を手元資金として準備しておく必要があります。
【診療科目別】クリニック開業資金の目安
クリニック開業に必要な資金は、診療科目によって異なります。主な診療科目として、以下のようなものがあります。
内科
整形外科
脳神経内科・外科
皮膚科
耳鼻咽喉科
眼科
泌尿器科
小児科
産婦人科
精神科・心療内科
それぞれ、開業資金の目安を見ていきましょう。
内科
ひとくちに内科といっても、その種類はさまざまあります。ここでは、以下5つの診療科目についてお伝えします。
一般内科
呼吸器内科
循環器内科
消化器内科
内分泌・糖尿病内科
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一般内科
一般内科の開業では、土地を確保できている場合や保証人がいるケースであれば、自己資金が少なくても開業できる可能性があります。戸建てで開業する場合は2,000万円程度、テナント開業の場合は6,000万〜8,000万円ほど必要だと考えられます。
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呼吸器内科
呼吸器内科を開業する場合、不動産にかかる費用のほか、レントゲン装置などの高額な医療機器を導入しなければならないため、7,000万円程度の資金が必要となるでしょう。
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循環器内科
循環器内科を開業する場合、土地を確保できていたり、保証人がいたりするケースでは自己資金なしでも開業できますが、1,000万円程度の自己資金があると安心でしょう。設備代などを含めると1億円程度はかかる可能性があるため、自己資金は多いに越したことはありません。
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消化器内科
消化器内科の開業には、内視鏡検査のための医療機器導入や設備投資も必要です。自己資金1000万円程度、融資額も合わせて9,000万円ほど必要となります。
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内分泌・糖尿病内科
内分泌・糖尿病内科では、戸建て開業で土地や保証人が確保できる場合、自己資金がなくても開業可能です。テナント開業では6,000〜8,000万円ほど必要となるでしょう。
整形外科
整形外科の場合、自己資金がなくでもテナントであれば開業できる可能性があります。戸建てでは、自己資金が1,000万円程度、物件の他に画像診断装置の導入が必要なため、5,000万円程度はかかります。高額な医療機器導入や、リハビリテーションに重点を置く場合、機器費用だけでなく、施設にかける費用も高額になるため1億円程度かかる可能性もあります。
脳神経内科・外科
脳神経外科・内科の開業資金は、画像診断装置の有無によって大きく変動します。CTやMRIを導入しない場合、自己資金ゼロでも開業できる可能性はありますが、画像診断装置を導入する場合は6,000万〜2億5,000万円必要になるでしょう。
皮膚科
皮膚科の開業資金の目安は、3,000万円程度とされています。土地や保証人が確保できていれば、自己資金がなくても開業できるケースもあるでしょう。
耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科の開業資金の目安は、4,000〜7,000万円となります。テナントや戸建てであれば、自己資金がなくても開業可能です。
眼科
眼科の開業資金は、立地やクリニックの設備・導入する医療機器により異なります。自己資金がなくても開業できるケースもありますが、開業資金の目安は4,500〜9,000万円程度となります。
泌尿器科
泌尿器科を開業する場合、自己資金はなくても開業できるケースもあります。開業資金の目安は、3,000〜5,000万円で、主に尿分析装置や膀胱鏡などの設備代がある程度必要となるでしょう。
小児科
小児科を開業する場合、土地代や吸引器などの設備代などを含め、5,500万円程度必要となります。小児科はキッズルームや駐車場の確保が望ましく、テナントよりも戸建て開業が理想的だといえるでしょう。
産婦人科
産婦人科の開業資金の目安は、土地代、超音波診断装置などの設備を含め、6,000万円程度が必要です。不妊治療も行う場合は、さらに設備投資が必要となり、費用もかかってきます。また、出産にも対応できる規模にするようであれば、金額は大幅に変わるでしょう。
精神科・心療内科
精神科・心療内科の場合、開業資金の目安は3,500万円程度です。診察のための設備が少なく、全ての診療科の中でも比較的開業資金がかからない診療科目だといえます。自己資金がなくても開業できるケースがあります。
クリニック開業資金の調達方法
クリニックを開業する場合、自己資金では賄えない費用は融資などを活用した資金調達が必要です。資金を調達する方法は、主に以下の5つです。
日本政策金融公庫
独立行政法人福祉医療機構
民間金融機関
補助金と助成金
リース会社
それぞれ紹介します。
日本政策金融公庫
クリニックを開業する際、日本政策金融公庫から「新規開業資金」の融資が受けられます。
開業資金の融資上限は7,200万円で、そのうち運転資金は4800万円です。返済期限は設備資金が20年以内、運転資金は7年以内となっています。
保証人や担保の有無によって金利は異なりますが、日本政策金融公庫は政府系の金融機関のため、比較的金利は低い傾向にあります。
出典: 日本政策金融公庫|新規開業資金
独立行政法人福祉医療機構
クリニック開業では、独立行政法人福祉医療機構からの融資を利用可能です。クリニック開業の条件によって、融資の種類が分けられています。
クリニックを新築建築する場合、建築資金は有床の場合は5億円以内、無床・歯科の場合は3億円以内、土地取得資金は3億円以内の融資が受けられます。返済期間は、建築・購入の場合は20年以内、貸借の場合は権利金は5年以内、敷金や保証金は15年以内に設定されています。
また、新築資金を利用した場合のみ、機械購入資金として2,500万円以内の融資が受けられ、返済期間は5年以内です。
他にも、長期運転資金、増改築資金などの融資が用意されているため、融資を検討されている方は、以下のサイトから確認してください。
民間金融機関
クリニックの開業では、民間の金融機関からの融資も受けられます。
銀行や信用金庫など、金融機関によって融資の条件や上限額などは異なるため、自院に適したものを選ぶことが大切です。
また、地方での開業を検討している場合は、地方銀行も検討しましょう。融資だけでなく、ビジネスサポートや研修を提供している銀行もあるためです。
補助金と助成金
クリニックを開業する際、国や地方自治体の補助金や助成金を活用するのも有効な手段です。クリニック開業時に活用できる補助金・助成金は、主に以下のようなものがあります。
創業補助金
事業承継・引継ぎ補助金
IT導入補助金
医療施設等施設設備費補助金
ものづくり補助金
補助金や助成金はある一定の条件を満たさなければなりません。事前に自院が適応となるか確認する必要があります。ただし、補助金や助成金だけで開業資金をまかなうことは困難です。他の融資と組み合わせ、うまく活用しましょう。
リース会社
クリニックの新規開業にあたって医療機器をリースしようとしている場合は、その会社から融資を受けることも可能です。
融資の金利は高い傾向にありますが、審査のスピードが早く、融資までの手間を省くことができるでしょう。
クリニックの開業資金を抑えるには?
クリニックの開業にあたって、なるべく開業資金を抑えたいと考える方も少なくないでしょう。
ここでは、クリニックの開業資金を抑えるための方法を、以下2つ紹介します。
クリニックを継承する
クリニックの開業資金を抑えるために、閉院を検討しているクリニックを継承するのも1つの方法でしょう。
いわゆる「居抜き開業」では、建物や設備、医療機器などを引き継ぐことで、開業の際、初期費用を大幅に抑えられます。さらに、クリニックの患者も引き継ぐことができれば、集患のための広告費などの節約につながります。
医療機器・設備の費用を抑える
自院の診療に必要な医療機器や設備を全て購入せず、リースを活用するのも有効な手段です。開業当初はリースを活用し、患者が定着して経営が安定して徐々に設備や機器を増やすと良いでしょう。
特に、CTやMRIなど高額な医療機器などは、検査設備を所有する近隣の医療機関と連携することも可能です。
電子カルテやレセコンなどの選定の際には、初期費用だけでなくランニングコストも考慮し、費用はどの程度かかるのか複数のメーカーを比較することが大切です。
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まとめ
クリニックの開業形態や診療科目によって、開業にかかる資金の額は異なります。開業のために自己資金が少ない場合は、自院に適した融資を選び、開業資金に充てられます。
開業後の運転資金不足を防ぐためには、クリニック継承や医療機器・設備のリース、比較的費用のかからない医療機器の選択などによって、開業資金を抑えることも大切です。
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