病院・クリニックにおけるキャッシュレス決済|進まない理由とメリットとは / エムスリーデジカル株式会社

病院・クリニックにおけるキャッシュレス決済|進まない理由とメリットとは

2024年5月24日

病院・クリニックにおけるキャッシュレス決済|進まない理由とメリットとは

近年、多くの業界でキャッシュレス決済の導入が進んでいますが、医療機関ではまだ普及が進んでいません。なぜ病院やクリニックでのキャッシュレス導入が遅れているのでしょうか?その理由と、キャッシュレス決済を導入することで得られる病院・クリニック側、患者側のメリットを詳しくご紹介します。

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目次

キャッシュレス決済とは

キャッシュレス決済とは、お札や小銭などの現金を使用せずにお金を払うことです。キャッシュレス決済手段には、クレジットカード、デビットカード、電子マネーやスマートフォン決済など、様々な手段があります。

クレジットカード/デビットカード

「クレジットカード」は後払い式の決済手段で、商品やサービス利用後に請求され、新規作成時に与信審査が必要です。

「デビットカード」は即時払い式で、利用時に銀行口座から直ちに代金が引き落とされ、新規作成時の与信審査は不要です。

電子マネー

「電子マネー」はカードやスマートフォンに事前に金額をチャージをしておき、商品やサービスの購入時にチャージ額から支払う、前払い式の決済手段で、新しくカードを作る際の与信審査は不要です。

QRコード

「QRコード決済」はスマートフォンに銀行口座やクレジットカードを事前に登録し、商品やサービスの購入時にスマートフォンでQRコードを読み取って支払う方式の決済手段です。導入コストが低く、新規登録時の与信審査の有無はサービスによります。

参考:キャッシュレス決済の“いろは”-経済産業省

キャッシュレス決済の導入実態

2022年における国内のキャッシュレス決済額は111兆円に達し、決済手段全体のうち、キャッシュレスが36.0%を占めています。しかし、医療機関ではキャッシュレス導入の普及率が低く、多くの病院・クリニックがまだ導入していない状況であることが分かります。

キャッシュレス決済比率(2022年)

参考:2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました-経済産業省

■業種別のキャッシュレス決済が使えるイメージと支払い手段の割合

業種別のキャッシュレス決済が使えるイメージと支払い手段の割合

参考:キャッシュレスの将来像に関する検討会-経済産業省

■医療機関におけるキャッシュレス決済(クレジットカード)の普及状況

医療機関におけるキャッシュレス決済(クレジットカード)の普及状況

参考:令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業-経済産業省

クリニックにおけるキャッシュレス決済の利用状況を調査したところ、キャッシュレス決済の種類において、クレジットカードの導入率が20.9%で最も高い結果となりました。しかし、医療機関の全体の56.5%はまだキャッシュレス決済を導入していない状況です。

Q.利用中のキャッシュレス決済サービスの種別を教えてください。(複数選択可)

利用中のキャッシュレス決済サービスの種別を教えてください。

出典:m3.com 意識調査結果
対象・方法:m3.comの登録医師を対象に、m3.com上でアンケートを実施
調査時期:2023年8月

病院・クリニックでキャッシュレスが進まない理由

病院・クリニックでキャッシュレス決済が普及しない理由として、以下の3つが考えられます。

  • 手数料が高い

    1. 支払い金額の2〜3%程度の決済手数料や振込手数料が発生し、医療機関がこれを負担することから、経済的な負担が生じます。

  • 現金の方が管理しやすい

    1. 現金に統一することでの管理の容易さや、キャッシュフローへの影響の懸念があります。

  • スタッフへの教育が必要

    1. 新しいツールの導入にはスタッフの教育が欠かせません。運用に慣れるまでの期間、学びながらの対応が必要となり、一時的に作業効率が下がる可能性が考えられます。

実際に、アンケートをとったところ、多くの医療機関がキャッシュレス決済を導入しない主要な理由として、「高い決済や振込手数料」という点が挙げられています。

Q.キャッシュレス決済を導入していない主な理由を選んでください。(複数選択可)

キャッシュレス決済を導入していない主な理由を選んでください

出典:m3.com 意識調査結果
対象・方法:m3.comの登録医師を対象に、m3.com上でアンケートを実施
調査時期:2023年8月

キャッシュレス決済を導入するメリット

病院・クリニック側のメリット

キャッシュレス決済の導入によって、レジ作業の効率化、感染症対策、集患効果への期待が持てるでしょう。

  • 業務の効率化

    1. 現金取扱いを無くすことにより、取引が迅速に行えるようになるだけでなく管理も容易になります。

  • 感染症対策

    1. 患者とスタッフがお金に触れることなく決済できるため、二次感染のリスクを軽減することができます。

  • 集患効果

    1. 医療業界ではキャッシュレス決済の導入がまだ一般的でないため、これを取り入れることで他の医療機関との差別化が図れます。

実際にキャッシュレス決済を導入している医師に聞いたところ、キャッシュレス決済の導入によって得られた効果として、最も多い回答は「会計業務の効率化」に効果を感じるというものでした。

Q.キャッシュレス決済の導入によって得られた主な効果は何ですか? (複数選択可)

キャッシュレス決済の導入によって得られた主な効果は何ですか

出典:m3.com 意識調査結果
対象・方法:m3.comの登録医師を対象に、m3.com上でアンケートを実施
調査時期:2023年8月

患者側のメリット

キャッシュレス決済の導入は、スピーディで快適な診療体験と安心感をもたらします。

  • 会計の手間がかからない

    1. 現金を用意する手間や、レジで小銭を取り出す動作が不要になり、顧客の満足度向上にもつながります。

  • 非接触での支払いが可能に

    1. 患者さんとスタッフがお金に触れることなく決済できるため、二次感染のリスクを抑えることが可能です。

  • 金銭的・心理的負担の軽減

    1. 予想がつきにくい支払い金額への不安や、高額な支払いを求められる負担が軽減できます。

全ての年代において90%以上の方がクリニックでキャッシュレス決済ができたら便利だと回答しました。

Q.普段通っているクリニックでキャッシュレス決済ができた場合、どのように思われますか。(複数選択可)

普段通っているクリニックでキャッシュレス決済ができた場合、どのように思われますか

出典:m3.com 意識調査結果
対象・方法:QLife会員950名を対象としたアンケートを実施
調査時期:2023年3月
※QLife株式会社はエムスリーデジカル株式会社のグループ会社です

キャッシュレス決済の選び方

1. 取り扱いたい(対応したい)キャッシュレス決済を選びましょう

主に4種類の決済手段(クレジット、デビット、電子マネー、QRコード)と、3種類の支払い方式(後払い、即時払い、前払い)から選ぶことができます。さらに普及率や特徴を考慮しながら対応したい支払方法を決めましょう。

キャッシュレス決済比率(2022年)

参考:2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました-経済産業省

2. キャッシュレス決済を利用するための決済サービスを選びましょう

各キャッシュレス決済が対応する決済端末システムやサービスを導入し、利用できる環境を整備する必要があります。

決済端末システムやサービス

決済システムは大きく、「医療特化型」「全産業型」に分類されます

  • 医療特化型

    1. 電子カルテやレセプトとの連携、診療時の患者導線に合わせたサービス設計が期待できます。全産業型と比較して、手数料率が低いサービスがあることも特徴に挙げられます。

  • 全産業型

    1. 多様なキャッシュレス決済の方法に対応しているので、単純に利用する患者が多いというのが特徴です。また、POSシステムや在庫管理システムと連携するものもあり、会計機能の充実にも期待ができます。

また、決済サービスはメーカーによって付帯する機能が異なります。必要な機能だけを選択することが大切で、不要な機能を過度に求めると、結局利用しないことも考えられます。クリニックの運営に適した機能を慎重に選び、サービスを選定しましょう。

決済サービスが提供する機能の一例

  1. 周辺機器連携

  2. レジ機能

  3. セルフレジ・発券機

  4. キャッシュレス決済対応

  5. 売上分析

  6. 予算管理

  7. 顧客管理

  8. データ出力

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まとめ

医療機関におけるキャッシュレス決済の導入率はまだ低いものの、そのメリットは多岐にわたります。病院・クリニック側では業務の効率化や感染症対策、集患効果が、患者側では会計の手間の軽減や非接触での支払いが可能など、双方にとってのメリットがあることを理解することが重要です。

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