オンライン診療研修とは?プログラムや流れ・受講する際の注意点を解説 / エムスリーデジカル株式会社

オンライン診療研修とは?プログラムや流れ・受講する際の注意点を解説

2024年9月4日

オンライン診療研修とは?プログラムや流れ・受講する際の注意点を解説

オンライン診療を実施するためには、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づいた研修を受講し、修了証を取得することが義務付けられています。

この記事では、オンライン診療研修の概要やプログラム、申し込みから修了証の取得までの流れを解説します。受講する際の注意点もお伝えするので、オンライン診療の基本概念やセキュリティリスクの知識を身につけ、質の高い医療の提供につなげたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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目次

オンライン診療研修とは

医師がオンライン診療を実施するためには、厚生労働省が定める「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に従い、オンライン診療研修の受講が義務付けられています。
オンライン診療研修の目的は、医師がオンライン診療を安全かつ効果的に行うために必要な知識と技術の習得です。

研修の内容は、オンライン診療に必要な情報通信機器の使用方法や、情報セキュリティに関する知識を含みます。この研修はeラーニング形式で提供され、オンライン上で受講可能です。
医師は、研修を受講し修了証を取得することで、オンライン診療に必要なスキルと知識を身につけられます。修了証は医療機関の公式サイトに掲載する必要があり、患者に対して信頼性と安全性を示す重要な証明となるでしょう。

出典: 厚生労働省|オンライン診療研修 緊急避妊薬の処方に対する研修

オンライン診療研修のプログラム

オンライン診療研修のプログラムは、以下のようなものが挙げられます。

  1. オンライン診療を行う医師向けの研修

  2. 緊急避妊薬の処方に関する研修

  3. へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修

  4. 慢性頭痛のオンライン診療に係る適切な研修

  5. 歯科におけるオンライン診療を行う歯科医師向けの研

それぞれの研修の主な項目と目的について、次に詳しく解説します。

オンライン診療を行う医師向けの研修

オンライン診療を行う医師向けの研修では、ガイドラインに基づき、オンライン診療の基本概念、遵守すべき事項、提供体制の要件などの知識を学びます。
この研修によって、医師はオンライン診療を安全かつ効果的に実施するための準備を整えることができます。

研修には5つの科目が用意され、それぞれの講義動画と演習問題で構成されています。講義動画を視聴した後、各科目ごとに10題の演習問題が出題され、全問正解で合格、修了証を取得可能です。

科目名 講義時間 テキスト
ページ数
オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度 約35分 56
オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項 約39分 82
オンライン診療の提供体制 約16分 17
オンライン診療とセキュリティ 約35分 31
実臨床におけるオンライン診療の事例 約27分 38

出典: 厚生労働省|オンライン診療研修実施概要

緊急避妊薬の処方に関する研修

令和元年7月の改定により、初診からでも例外的にオンライン診療で緊急避妊薬を処方することが可能となりました。オンライン診療を実施する際、緊急避妊薬の処方も行う可能性がある場合、両方の研修を受講する必要があるため注意が必要です。

また、初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方については、実態調査も行われています。
オンライン診療を行う医師向けの研修と同様、各科目それぞれ10題の演習問題を全問正解すると修了証が取得できます。

科目名 講義時間 テキスト
ページ数
経口避妊薬(OC)について理解すべき事項-各種避妊法とOC全般 約45分 68
緊急避妊(Emergency Contraception:EC) 約39分 58

出典: 厚生労働省|オンライン診療研修実施概要

へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修

令和6年度診療報酬改定により、看護師等遠隔診療補助加算の施設基準が新設されました。
これにより「へき地における患者が看護師等といる場合の情報通信機器を用いた診療に係る研修を修了した医師を配置していること」が求められています。

この研修は、へき地でのオンライン診療において、看護師や他の医療スタッフと連携して診療を行うための知識とスキルを提供します。
具体的に含まれる内容は、情報通信機器の使用方法、適切な診療手順、緊急時の対応策などです。研修を受けることで、へき地においても質の高い医療サービスの提供が可能となります。

科目名 講義時間 テキストページ数
へき地における患者が看護師といる場合のオンライン診療 約37分 40

出典: 厚生労働省|オンライン診療研修実施概要

慢性頭痛のオンライン診療に係る適切な研修

慢性頭痛のオンライン診療を行う場合、厚生労働省が指定するオンライン診療のe-ラーニングの他に「脳神経外科もしくは脳神経内科の経験を5年以上有する医師」または「慢性頭痛のオンライン診療に係る適切な研修を受けた医師」が診療を行う必要があります。

この規制により、患者は専門知識を持つ医師による診療を受けることができます。
一般社団法人日本頭痛学会のe-ラーニングは厚生労働省指定の「適切な研修」に該当します。具体的な内容は、以下10本の動画コンテンツです。

  1. 慢性頭痛のオンライン診療概論

  2. 危険な二次性頭痛を見逃さないためのオンライン診療のポイント

  3. 頭痛分類、診断基準、慢性頭痛診療ガイドライン、頭痛ダイアリー

  4. 片頭痛の診断と治療

  5. 慢性片頭痛と薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)

  6. 緊張型頭痛の診断と治療

  7. 群発頭痛・三叉神経自律神経性頭痛の診断と治療

  8. 小児の慢性頭痛診療

  9. 女性の慢性頭痛診療

  10. 高齢者の慢性頭痛診療

各コンテンツごとに問題が用意されており、すべての問題に回答することで受講証明書が発行されます。途中で停止しても、停止した部分から再開可能です。

出典: 一般社団法人日本頭痛学会|慢性頭痛オンライン診療 e-learning

歯科におけるオンライン診療を行う歯科医師向けの研修

歯科におけるオンライン診療を実施する歯科医師は、厚生労働省が定める研修を受講しなければなりません。
この研修は、歯科医師がオンライン診療を適切に実施するために必須となる知識を習得することを目的としています。

研修は、厚生労働省が実施する集合形式と、公益社団法人日本歯科医師会が実施するe-ラーニング形式の2種類があり、どちらかを選んで受講することができます。
ただし、集合形式の研修は受講人数に制限があるため、日本歯科医師会会員はe-ラーニング形式の研修受講が推奨されています。
研修内容は、以下の通りです。

  1. オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度

  2. オンライン診療の提供に当たって遵守すべき事項

  3. オンライン診療の提供体制

  4. オンライン診療とセキュリティ

研修後、講義内容に関する演習問題(計10問)が行われ、6問以上正解すると修了証が発行されます。

出典: 厚生労働省|歯科におけるオンライン診療

オンライン診療研修の申し込み〜修了証取得までの流れ

厚生労働省が指定するオンライン診療研修は、インターネット環境があればオンラインで完結できます。申込から修了証取得までの流れは、以下の通りです。

  1. 厚生労働省のサイトから申し込み

  2. e-ラーニングの受講

  3. オンライン診療研修修了証の取得

それぞれ見ていきましょう。

1. 厚生労働省のサイトから申し込み

まず、厚生労働省が設けた「オンライン診療研修・緊急避妊薬の処方に対する研修の特設サイト」にアクセスしましょう。
研修プログラムの概要や注意事項を確認した後「オンライン診療研修申込はこちら」をクリックし、申込フォームに必要事項を入力して送信します。

申し込みフォームに必要な情報は、主に以下の通りです。

  1. 医師資格証ID(医師会員ID番号ではなくカードID)

  2. 名前

  3. 性別

  4. 生年月日

  5. メールアドレス(「info@telemed-training.jp」からの連絡を受信可能な設定にしておく)

  6. 医籍登録番号および登録日付

  7. 所属医療機関

  8. 医療機関名

  9. 医療機関住所

  10. 診療科

  11. 電話番号

また、緊急避妊薬研修プログラムや、へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修プログラムの受講申し込みも、このサイトから行えます。

出典: 厚生労働省|オンライン診療研修お申し込み

2. e-ラーニングの受講

研修はe-ラーニング形式です。指定されたURLから受講を申し込み、受講資格が確認されれば、インターネット上でいつでも受講できます。
なお、受講に料金はかかりません。

3. オンライン診療研修修了証の取得

オンライン診療研修を受講した後、施設基準に従ってオンライン診察料を各都道府県の厚生局に届出書類とともに提出します。

厚生局は毎月申請を受け付けており、受理された翌月から算定が可能です。例えば、1日に受理された場合は、その月から算定されます。

必須科目の演習問題に全て正解すると、オンライン研修修了証を特設サイトから取得可能です。修了証は紙ではなく、電子データとして発行されます。

オンライン診療研修を受講するときの注意点

オンライン診療研修を受講する際には、以下3つの注意点があります。

  1. 医師等資格確認検索システムに登録が必要

  2. オンライン診療研修修了証の保存が必要

  3. ネットワーク環境の整備が必要

それぞれ詳しく解説します。

医師等資格確認検索システムに登録が必要

オンライン診療研修を受講するためには、医師等資格確認検索システムに登録されていることが必要です。このシステムは、医師の氏名・資格・専門分野・所属する医療機関などの基本情報を確認するためのものです。

登録されていない医師は、「医師等資格確認検索システム掲載申請書」に必要事項を記入し、以下の住所に郵送する必要があります。

送付先
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係
※封筒の表に「医師等資格確認検索システム掲載申請書」在中と記載

医師等資格確認検索システムへ登録後、改めて研修の申し込みが必要です。

出典: 厚生労働省|オンライン診療研修お申込み

オンライン診療研修修了証の保存が必要

オンライン診療研修修了証はPDF形式で発行され、スクリーンショットではなく、直接PDFファイルで保存が必要です。医療機関の公式ウェブサイトに修了証を掲載することが義務付けられているため、適切に保存しておきましょう。

ネットワーク環境の整備が必要

オンライン診療研修はすべてオンラインで行われるため、通信が途切れない安定したネットワーク環境が必要です。オンライン診療の実施においても、医師と患者がリアルタイムで通信を行うため、高速で信頼性の高いインターネット接続が求められます。

また、医療情報の機密性を保護するために、セキュリティとプライバシーの保護も徹底しなければなりません。

オンライン診療開始までのステップ

オンライン診療開始までのステップは、主に以下の6つです。

  1. オンライン診療システムを導入する

  2. e-施設基準の届出を行う

  3. オンライン診療研修を受講する

  4. 医療機能情報提供制度に登録する

  5. オンライン診療の実施にかかる診療計画書を作成する

それぞれ解説します。

オンライン診療システムを導入する

まず、オンライン診療を実施するためのツールを選定します。
ツールの選択肢は、汎用性のある情報通信サービス(例:Zoom、Google Meet)と、専用のオンライン診療システムの2つです。

汎用性のあるツールは導入が簡単で患者も使いやすいものの、情報の取り扱いには注意が必要です。一方、専用のオンライン診療システムは、予約から支払いまで一括管理でき、医療機関の業務効率化にもつながります。
それぞれの特徴を理解し、慎重に選びましょう。

施設基準の届出を行う

オンライン診療を導入するためには、厚生労働省が指定する施設基準を満たし、所定の書類を地方厚生局に提出しなければなりません。
施設基準には、情報通信機器を用いた診療体制の整備や、指針に沿った診療体制の確立が含まれます。基準をクリアし、届出を行うことでオンライン診療の導入が認められます。

オンライン診療研修を受講する

オンライン診療を行う医師は、厚生労働省が指定するオンライン診療研修を受講する義務があります。
研修はオンラインで受講でき、オンライン診療の基本概念やセキュリティリスクに関する知識を学びます。「オンライン診療を行う医師向けの研修」と「緊急避妊薬の処方に関する研修」など、該当するプログラムを選択して受講しましょう。

医療機能情報提供制度に登録する

研修の受講が終わったら、医療機能情報提供制度に登録します。
オンライン診療を行っている医療機関として登録することで、患者からの認知度を高められるでしょう。登録情報に変更があった場合は、適宜更新が必要です。

オンライン診療の実施にかかる診療計画書を作成する

オンライン診療を開始する前に、オンライン診療計画書を作成します。
オンライン診療計画書は、厚生労働省のガイドラインに基づいて作成が必須とされており、診療の流れや対応方法などを詳細に記載します。
計画書を作成することで、診療をスムーズに進めることができるでしょう。

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まとめ

今回は、オンライン診療を実施するための研修について解説しました。

オンライン診療を安全かつ効果的に行うためには、厚生労働省が定めるオンライン診療研修の受講が不可欠です。この研修を通じて、医師はオンライン診療に必要な知識と技術を習得し、患者に対して高い信頼性と安全性を提供できます。

また、修了証の取得により、医療機関はオンライン診療を実施できることを証明できます。オンライン診療の導入を検討する医療機関は、必ず研修を受講し、適切な知識とスキルを身につけて質の高い医療サービスを提供しましょう。

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