クラウド型電子カルテとは?メリット・デメリットや選ぶポイントを解説
2023年11月2日
クラウド型電子カルテという言葉を耳にしたことはあっても、実際どういった電子カルテのことなのか、よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、クラウド型電子カルテの特徴や、オンプレミス型との違い、メリット・デメリット、選ぶポイントを解説します。
目次
クラウド型電子カルテとは
クラウド型電子カルテとは、インターネット回線を通じてクラウド上に保存されたデータを利用する電子カルテのことです。
クラウド型電子カルテの最大の特徴は、院内にサーバーを設置する必要がない点です。インターネットに接続できる環境であれば、院内だけでなく院外でも使用できるため、訪問診療などにも活用できます。
近年、クラウド型電子カルテのクリニックでの普及率は上昇傾向にあり、中小規模の病院でも導入されるようになっています。
【2023年最新】電子カルテの普及率|普及が進まない理由・導入する3つのメリット
そもそもクラウドとは
クラウドという言葉を耳にしたことはあっても、よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
クラウドとは、サーバーやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じてサービスを利用できる形態のことです。クラウドの由来は「雲(Cloud)の向こう側のサービス」「集約したシステム(crowd)」など、諸説あります。
クラウドの種類は、主に以下3つです。クラウド電子カルテは、このうちSaaSにあたります。
SaaS(サース) (Software as a Service) |
パッケージ提供されていたソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス |
---|---|
PaaS(パース) (Platform as a Service) |
開発環境を提供するクラウドサービス |
IaaS(イアース) (Infrastructure as a Service) |
インターネット経由でサーバーやネットワークなどを利用できるサービス |
オンプレミス型電子カルテとの違い
電子カルテには、クラウド型のほかに「オンプレミス型電子カルテ」があります。
オンプレミス型は、院内に設置したサーバーにデータを保存するシステムです。サーバーやパソコンを購入する必要があるため、クラウド型に比べて導入・初期費用が高くなる傾向にあります。
その反面、クラウド型に比べて動作が速い、自由にカスタマイズしやすい、といった特徴があります。
電子カルテについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
電子カルテとは?普及率や3原則、導入するメリット・デメリットを解説
クラウド型電子カルテの5つのメリット
院内にサーバー設置を必要としないクラウド型電子カルテには、主に以下5つのメリットがあります。
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導入・運用コストが抑えられる
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場所を選ばす使用できる
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タブレットやスマートフォンが使用できる
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業務効率化につながる
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バックアップできる
それぞれ詳しく解説します。
導入・運用コストが抑えられる
電子カルテを導入すると、専用機器を揃えなければならないイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。クラウド型電子カルテシステムは、今使っているパソコンを流用することが可能なため、導入コストを抑えられます。
また、オンプレミス型のようなサーバー設置やソフトウェアを購入する必要がなく、ネットワークの構築のための費用もかかりません。
クラウド型電子カルテは月額費用がかかりますが、ひと月数万円程度なので、運用コストも抑えられるでしょう。
場所を選ばず使用できる
クラウド型電子カルテは、インターネット環境があれば、場所を選ばず閲覧・操作できます。
院内にサーバーを設置するオンプレミス型の場合、パソコンがある場所でしかカルテを閲覧できません。
クラウド型であれば、院内の限られた場所だけでなく、院外でもカルテを閲覧したり、操作したりすることが可能です。インターネットにつながるパソコンや端末があれば、訪問診療や訪問看護などにも活用できます。
タブレットやスマートフォンが使用できる
クラウド型電子カルテは、メーカーによって異なりますが、iPadなどのタブレットやスマートフォンでも閲覧・操作が可能なものがあります。
例えば、訪問診療などで、タブレットやスマートフォンを持参すれば、その場で検温の結果を入力できたり、創部の写真を撮影して取り込んだりできます。
iPadを使った書き入力機能を持つ電子カルテもあり、紙カルテのように操作することも可能です。
業務効率化につながる
クラウド型電子カルテは、他のシステムや医療機器と連携することで、業務効率化につながります。
例えば、エムスリーデジカルの場合は、デジスマ診療という弊社の診療予約システムと連携すれば、自動受付、問診データの電子カルテ連携、会計や支払いなども一貫して行えるため、医師や事務など医療スタッフの業務効率化だけでなく、患者満足度向上にもつながるでしょう。
バックアップできる
クラウド型電子カルテは、外部のサーバーでデータを管理し、バックアップを行っています。災害などのトラブルにも影響を受けにくく、早期復旧が可能です。
わが国では、地震や豪雨などの自然災害のリスクがあるため、事前の備えが重要です。クラウド型電子カルテでは、自動的にクラウド上にバックアップするため、データ消失は免れるでしょう。
クラウド型電子カルテの3つのデメリット
クラウド型電子カルテにはメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
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カスタマイズに制限がある
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オフラインの場合使用できない
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反応が遅いケースがある
それぞれ詳しく解説します。
カスタマイズに制限がある
クラウド型電子カルテのデメリットの1つは、カスタマイズに制限があることです。
オンプレミス型電子カルテは、自院の診療科目やオペレーションの体制に合わせ、柔軟にシステムをカスタマイズできます。その一方で、クラウド型では、利用できる機能が決まっているものがあり、自院に合わせたカスタマイズは難しくなります。
そのため、自院の機能に適したクラウド型電子カルテを選ぶことが大切だといえるでしょう。
オフラインの場合使用できない
クラウド型電子カルテは、インターネットを介して操作するため、インターネットの接続状態が不安定だったりオフラインだったりする場合、使用できません。
ネットに接続できない状況でも、スマートフォンのテザリング機能などを使って対応することは可能ですが、通信費など別途必要となるケースがあるでしょう。
クラウド型電子カルテの導入を検討する際、自院のインターネット環境を確認しておく必要があります。
反応が遅いケースがある
クラウド型電子カルテは、オンプレミス型に比べ、操作の反応が遅いと感じるケースがあるでしょう。
クラウド型では、インターネット回線やサーバーの状況によって、タイムラグが生じることがあります。
クラウド型電子カルテの導入を検討している場合、デモ版や無料トライアルなどで操作性を確かめておくと安心です。
クラウド型電子カルテを選ぶときのポイント
クラウド型電子カルテを選ぶ際は、以下のポイントを抑えることが大切です。
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操作性は良いか
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他システムと連携できるか
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サポート体制は万全か
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セキュリティ対策は十分か
それぞれ詳しく解説します。
操作性は良いか
クラウド型電子カルテを選ぶ際、操作性の良さは重要なポイントです。
医療現場では、医師をはじめ、看護師や医療事務など多くのスタッフがカルテを使用します。なかには、パソコン操作が苦手な人も少なくないでしょう。
電子カルテを導入する前に、画面レイアウトの見やすさやカルテ入力の操作に問題はないか、デモ画面や無料トライアルで試してみると安心です。
他システムと連携できるか
クラウド型電子カルテを選ぶ際、既存のシステムや医療機器などと連携可能か、確認してみましょう。
例えば、PACSや外注検査会社との連携によって、画像や採血データなどを電子カルテに反映できます。また、レセコンと連携すれば、受付・診察・会計を一貫して管理できます。
電子カルテのメーカーによって連携可能なシステムは異なるため、導入前に確認することが大切です。
サポート体制は万全か
クラウド型電子カルテを導入する際、サポート体制が万全に整えられているメーカーを選ぶようにしましょう。
電子カルテの導入にあたって、システムの連携や医療スタッフへの操作方法のレクチャーなど、事前にサポートが必要です。導入後も操作に不明点があったり、トラブルが発生したりした場合、サポート体制が整えられていれば業務に支障をきたすリスクを軽減できます。
土日休日や夜間でも対応してもらえるか、電話またはWebでのサポートか、回数なども確認しておきましょう。
セキュリティ対策は十分か
クラウド型の電子カルテは、ネット上のサーバーでデータを管理するため、不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティ対策を確認することが大切です。
どのようなセキュリティ体制なのか、トラブルが起きた際のサポート内容など、複数の電子カルテメーカーを比較検討することが大切です。また、バックアップがどのようにとられているかも確認しておきましょう。
クラウド型電子カルテならエムスリーデジカル
弊社では、クラウド型電子カルテ「エムスリーデジカル」を提供しています。5,000施設以上の導入実績、100以上のサービス・機器と連携実績があり、利用環境に合わせたご提案が可能です。
カルテ単体では初期費用無料、月額11,800円(税抜)から利用開始できます。デジカルは1人でも簡単に導入でき、サポート体制も万全です。無料体験も可能ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
クラウド型電子カルテは、オンプレミス型に比べて導入コストが抑えられ、インターネットに接続できる環境であれば院外でも使用できる、といったメリットがあります。その反面、カスタマイズしづらい、オフラインでは使用できないといったデメリットもあります。
自院の特性に合わせ、複数の電子カルテを比較検討し、ポイントを押さえて選ぶことが大切です。クラウド型電子カルテの導入によって、業務効率化や医療の質向上につながるでしょう。