WebORCAとは?クラウド版(旧)との違いや導入によるメリット・手順 / エムスリーデジカル株式会社

WebORCAとは?クラウド版(旧)との違いや導入によるメリット・手順

2023年12月27日

WebORCAとは?クラウド版(旧)との違いや導入によるメリット・手順

WebORCAは、日本医師会が提供する日医標準レセプトソフト「ORCA(オルカ)」のクラウド版です。基盤をAWSへ移行し、2021年10月に次世代クラウド版としてリリースされました。

すでにORCAを導入されている方や、これからレセコンを導入する方の中には、WebORCAとはどういったものか気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、WebORCAの概要やクラウド版(旧)との違い、導入するメリット・注意点・手順などを解説します。

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目次

WebORCA(ウェブオルカ)とは

WebORCAは、日本医師会が提供する日医標準レセプトソフト(日レセ)「ORCA(オルカ)」のクラウド版です。WebORCAは、従来の基盤をAWSへ移行し、2021年10月に次世代クラウド版としてリリースされました。

ORCAは、医療現場のIT化を推進する日本医師会が提供しているソフトウェアであるため、高い信頼性があります。レセコンの中でもシェア率が高く、約17,000以上の医療機関で利用されています。

ORCAではプログラムやデータベースをオープンソースとして公開しています。医療現場でシステムを使っている人は誰でも閲覧・更新できるため、常に最新の状態に維持されています。

患者の個人情報や保険情報などを取り扱う医療分野では、クラウドサービス利用のルールや規範をまとめたガイドラインが細かく定められています。WebORCAも、このガイドラインに準拠したクラウドサービスであり、安全性が確保されています。

ORCAについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:ORCA(オルカ)とは?特徴や導入方法・注意点・オンライン資格確認への対応状況

クラウド版(旧)との違い

日本医師会が提供する日レセは、以下の3種類があります。

  • オンプレミスの商用版

  • クラウド版(旧)

  • 次世代のWebORCA版

このうち、クラウド版(旧)からWebORCAはどのように進化したのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

クラウド版(旧)との違いは、主に以下の点にあります。

  • 動作速度が大幅に向上した

  • ブラウザで利用できるようになった

  • アクセス数の増大や不慮の災害に対してより安定的になった

  • 災害に強いデータセンターで情報が管理される

  • オンプレミス(院内型)としても利用できる

クラウド版(旧)は、オンプレミス版と比較してレスポンスの遅さが課題でした。WebORCAは、5Gに代表される通信環境との相乗効果もあり、動作速度が大幅に向上しています。

日レセオンプレ版はWebORCAオンプレ版として継続利用できる

すでに日レセを使用している方の中には、WebORCAリリースに伴い「日レセオンプレ版が使えなくなるのではないか」という不安がある方も少なくないでしょう。

日本医師会によると、今後の方針としてWebORCA版に統一する方向で進めているものの、日レセオンプレ版に関して、以下のように公表しています。

  • 日レセオンプレ版はWebORCAオンプレ版となり継続利用が可能

  • 一部OSでのサポート終了はあるが、オンプレ版の終息はない

日レセの製品名ごとのサポート状況は、以下の通りです。

製品名 バージョン サポート終了日
日レセ商用版
日レセオンプレ版
Ubuntu18.04 2024年9月
Ubuntu20.04 2025年3月
WebORCAオンプレ版 Ubuntu22.04 2027年頃を予定
※以降リリースされるUbuntuのバージョンに対応予定
※リリース時期は決定次第、案内予定

出典:日本医師会ORCA管理機構

現在、日レセオンプレ版を使用している方は、自院の製品を継続利用するための設定作業について、サポート事業所に相談してみましょう。

出典:日本医師会ORCA管理機構(株)|日レセオンプレ版とWebORCAオンプレ版について

出典:日本医師会ORCA管理機構(株)|WebORCAオンプレミス版について

WebORCAの導入によるメリット

WebORCAの導入によるメリットは、主に以下6つです。

  • 院内のスペースを有効に活用できる

  • 更新作業などの負担を軽減できる

  • 場所を選ばず利用できる

  • 多職種と連携しやすくなる

  • コスト削減につながる

  • さまざまなクラウドサービスに対応できる

それぞれ解説します。

院内のスペースを有効に活用できる

WebORCAはクラウドを利用するため、院内にサーバーを設置する必要がありません。わずらわしいケーブル配線や設置作業も少なくて済み、スペースを有効活用できます。

更新作業などの負担を軽減できる

診療報酬改定など、制度改正に伴うプログラム更新がクラウド上で行われるため、更新作業の負担が軽減できます。プログラム更新には費用もかかりません。

場所を選ばず利用できる

WebORCAはクラウドを利用するため、インターネットにつながる環境であれば、ノートパソコンやタブレットなどさまざまな端末で利用できます。モバイル対応なので、往診先でレセプトや請求書を発行したり、自宅でレセプトの確認をしたりすることも可能です。

多職種と連携しやすくなる

WebORCAを導入することで、多職種との連携が容易になります。例えば、訪問診療を行っているクリニックなどの場合、提携している医療機関や訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどと連携し、患者の情報を共有できます。院内組織内でのグループ連携なども構築しやすくなるでしょう。

コスト削減につながる

一般的なレセコンは、メーカーが指定するパソコンやサーバー代などが必要となるケースがあります。WebORCAは、自分の好きなパソコンやタブレットなどが使えるため、導入・初期費用などのコスト削減につながります。

日本医師会ORCA管理機構へのサービス利用料が必要ですが、メーカーに比べると安い傾向にあります。

WebORCAの利用料は、以下の通りです。(※料金は税込)

基本サービス 1医療機関あたり月額利用料:2,200円
※端末の台数にかかわらず一律
セキュリティサービス 契約形態:TLS1.2サービス
初期費用:0円
月額利用料:550円

出典:日本医師会ORCA管理機構

さまざまなクラウドサービスに対応できる

クラウドを利用するWebORCAであれば、さまざまなクラウドサービスに対応しやすくなります。

例えば、日本医師会ORCA管理機構の各クラウドサービスには、レセプト以外に以下のようなソフトウェアがあり、一緒に使うことができます。

  • 医見書

  • 給管帳クラウド版

  • 特定健診システムクラウド版

  • 地域医療連携のための紹介状作成ツール(MI CAN)

  • HPKI電子署名ソフト(SignedPDF Client ORCA)

  • DiedAi死亡診断書(死体検案書)作成ソフト

出典:日本医師会ORCA管理機構

他に、電子カルテやオーダリングシステム、電子処方箋など、ICTを活用したサービスと連携し、これからの医療に対応しやすくなるでしょう。

WebORCAを導入する手順

WebORCAの申し込みから運用開始まで、3週間程度の時間が必要です。WebORCAの導入から運用開始までの手順は、以下のような流れになります。

検討 導入スケジュール・予算・ネットワーク構成などを検討する
1ヶ月目 申し込み 日本医師会ORCA管理機構にクラウドサービスを申し込む
2ヶ月目 接続アカウント受取 WebORCA クラウド版を利用するための接続アカウント(電子証明書等)を受け取る
機器導入・設定 端末へ電子証明書及びクライアントソフトをインストールする
日レセマスタ設定 日レセに医療機関情報等を登録する
教育・練習 日レセ操作手順の教育を受ける
3ヶ月目 運用開始 実際に運用を開始する

出典:日本医師会ORCA管理機構

上記手続きや設定は、ORCA認定サポート事業所が代行できます。詳しくは、以下のリストを参照し、お近くの認定サポート事業所に相談してみましょう。

WebORCA 取扱認定サポート事業所一覧

なお、現在オンプレミス商用版を利用している場合、商用版は解約が必要です。手続きはサポート事業所経由となるため、WebORCA導入と併せて相談してみましょう。

WebORCAはオンライン資格確認に対応している?

WebORCAは、2023年4月から原則義務化された「オンライン資格確認」にも対応しており、追加の契約等は必要なく利用できます。

オンライン資格確認とは、医療機関と支払基金をネットワークで接続し、患者の保険資格情報をオンラインで取得する仕組みのことです。

日レセでは、オンライン資格確認を厚生労働省の標準構成で行います。標準構成では、顔認証付きICカードリーダーと資格確認端末(PC)を直接接続し、レセコンや電子カルテは資格確認端末と接続します。

今後、オンライン資格確認のネットワークを基盤とし、電子カルテ情報の共有など、医療情報プラットフォームの構築が進められています。クラウドを利用するWebORCAは、今後も進化する医療体制に対応できるでしょう。

一体型・連動型ならエムスリーデジカル

オンライン資格確認の義務化や電子カルテ情報共有の構築などに伴い、レセコン導入やクラウド化を検討されている方は、弊社エムスリーデジカル株式会社の製品も選択肢の1つとして活用できます。

弊社では、クラウド型電子カルテ「エムスリーデジカル」を提供しています。電子カルテレセコン一体型、ORCA連動型に対応しており、レセコン単体、電子カルテ単体でのご提供も可能です。レセコン単体では初期費用無料、月額14,800円(税抜)からコストを抑えて利用開始できます。オプションで既存のレセコンからのデータ移行も可能です。無料体験も可能なので、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

日本医師会が提供するORCAの次世代クラウド版「WebORCA」は、これまでのクラウド版に比べ、動作速度や安定性が向上しました。従来の日レセ同様、常に最新の状態が維持でき、信頼性の高いソフトウェアだといえます。

院内にサーバーを設置する必要がないため、院内スペースの有効活用やコスト削減などにもつながります。さまざまなクラウドサービスに対応できるため、今後も医療現場において活用の幅が広がるでしょう。

弊社では、クラウド型電子カルテ「エムスリーデジカル」を提供しています。電子カルテ単体・レセコン単体・一体型いずれも提供可能です。5,000施設以上の導入実績、100以上のサービス・機器と連携実績があり、利用環境に合わせてご提案できます。

レセコン単体では初期費用無料、月額14,800円(税抜)から利用が開始でき、オプションで既存レセコンからのデータ移行も可能です。サポート体制も万全ですので、お気軽にご相談ください。

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