クリニックの開業で失敗する7つの要因|倒産・休廃業の動向、成功するためのポイント
2024年2月16日
クリニックを開業したものの「資金繰りが厳しくなった」「思ったように患者が集まらない」など、失敗につながるケースは少なくありません。
帝国データバンクの調査によると、クリニックの倒産・休廃業などの件数は年々増加傾向にあるとされています。
この記事では、クリニック開業で失敗する7つの要因、倒産や休廃業の動向、失敗しないためのポイントを解説します。
クリニック開業で失敗する7つの要因
クリニック開業で失敗する要因として、主に以下の7つが考えられます。
事業戦略を策定していない
運転資金を十分に準備していない
経営の知識が不足している
スタッフが定着しない
集患対策がうまくいっていない
不要な設備を導入している
感染症の影響を受けている
それぞれ詳しく解説します。
事業戦略を策定していない
クリニック開業で失敗する主な要因の1つに、事業戦略をしっかり策定していないことが挙げられます。
開業医は、医療の専門知識だけでなく、患者のニーズや市場動向を把握した上で、立地の選定や競合との差別化、集患施策などを事前に計画しなければなりません。
こうした事業戦略を策定していないと、患者が集まらない、競合が多すぎるなど経営に影響を及ぼし、最終的に失敗につながる可能性があります。
運転資金を十分に準備していない
運転資金を十分に準備していない場合、クリニック開業の失敗につながる可能性があります。
開業後、患者数が安定せず、収入が期待していたよりも伸びないケースもあるでしょう。こうした状況の中、家賃や人件費、消耗品の購入、医療機器のリース代などの費用が発生します。
このような経費をまかなえず、クリニックの運営が困難になる可能性があるため、十分な運転資金を準備しておくことが重要です。
経営の知識が不足している
クリニック開業で失敗する要因として、経営の知識やスキルが不足していることも考えられます。
クリニック運営には、経営に関する幅広い知識が必要です。クリニックを経営するためには、マーケティング戦略の立案、財務・人事・リスク管理などに関する知識が求められます。これらの知識が不足していると、患者やスタッフを確保できなかったり、資金繰りに問題が生じたりする可能性があります。
経営に関する知識が不足している場合、コンサルタントなどの専門家にアドバイスや支援を依頼することも考慮しましょう。
スタッフが定着しない
クリニックの経営には、医療事務や看護師といったスタッフが必要不可欠です。スタッフが定着しない場合、クリニック開業の失敗のリスクを高める可能性があるでしょう。
例えば、スタッフ同士のトラブルやクリニックとの相性の悪さなどが原因で頻繁に人材が入れ替わるケースが考えられます。その場合、新たにスタッフを育成するための時間と費用が必要となります。また、患者との信頼関係構築にも時間がかかり、満足度に影響を及ぼすリスクも考えられるでしょう。
集患対策がうまくいっていない
集患対策がうまくいっていない場合、クリニックの運営に大きな影響を与える可能性があります。
クリニックに来院する患者数は、収益に直結します。患者数が少なければクリニックの収入が減少し、運転資金の確保や経営継続が困難となることが考えられます。
集患対策がうまくいかない原因を特定し、クリニックの信頼性や評判を向上させるための施策を講じることが大切です。
不要な設備を導入している
不要な設備を導入すると、開業の初期費用が高くなり、開業後の資金繰りに悪影響を与えかねません。
診療に必要な医療機器は、クリニックによって異なります。例えば内科であれば、レントゲンや心電図などの医療機器は必要不可欠だといえます。とはいえ、近隣にCTやMRIなど大型機器を導入している医療機関があれば、地域連携によって診療を依頼することもできるでしょう。
不要な医療設備は、定期的なメンテナンスや修理など維持管理費が発生するため、自院に必要な設備を慎重に選定することが望ましいでしょう。
感染症の影響を受けている
クリニック開業で失敗する理由として、新型コロナウイルスをはじめ、感染症の影響を受ける可能性があります。
実際、新型コロナウイルス感染症のリスクを避けるために、患者が来院を控えることは少なくありません。感染症対策として、隔離のための設備投資、マスクや消毒液などの消耗品の購入などが必要となり、コストの負担も経営に負担を与えます。
また、感染症の拡大によってスタッフの休職率が増加し、クリニック運営に悪影響を与えることがあります。
クリニック開業の失敗件数は増加傾向にある
実際、クリニックを開業したのち、倒産や休廃業などにつながった件数はどの程度なのでしょうか。
帝国データバンクの調査結果をもとに、クリニックの倒産件数、休廃業・解散件数をご紹介します。
2021年クリニックの倒産件数は22件
帝国データバンクが公開している調査結果によると、2021年の医療機関の倒産は33件です。そのうち一般診療所の倒産件数は22件、負債総額は38億7,700万円となっています。
診療所の倒産件数は、新型コロナウイルス感染症の影響で前年より1.8倍増加しており、2009年度の27件に次いで高い結果となりました。
子どもの感染を警戒し、通院を控えさせた影響が大きいとされ、小児科や耳鼻咽喉科での患者数が減少したとの報告があります。
病院に比べてクリニックの倒産が増加している背景として、経営者の高齢化や休廃業・解散件数の増加があるとされています。
出典: 株式会社帝国データバンク|医療機関の倒産動向調査(2021年)
2021年クリニックの休廃業・解散件数は471件
帝国データバンクの同調査によると、2021年の医療機関の休廃業・解散件数は567件、そのうち一般診療所は471件と、倒産件数より圧倒的に高い結果になっています。
倒産ではなく、休廃業・解散で事業を終了させるには、原則、借入金などの負債がない健全な財務状況であることが前提です。
診療所の代表者の年齢分布を見ると、2011年の56歳から2021年は66歳が最多で、世代交代が進んでいません。診療所では、病院のように後継者候補が存在しないケースが多く、今後も高齢化や感染症の影響による人材不足などで、休廃業・解散件数が増加する可能性が高いことが懸念されています。
出典: 株式会社帝国データバンク|医療機関の休廃業・解散動向調査(2021年)
クリニックの開業で失敗しないためのポイント
クリニックの開業で失敗しないためのポイントは、主に以下の5つがあります。
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クリニックの立地条件を入念に調べる
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経営スキルを身につける
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余裕のある運転資金を準備しておく
-
円滑なコミュニケーションを心がける
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集患対策を講じる
それぞれ解説します。
クリニックの立地条件を入念に調べる
クリニックの開業で失敗しないためのポイントの1つに、立地条件を入念に調べることが挙げられます。
ターゲットとする患者層が多く住んでいるか、交通の利便性や駐車場の有無などを考慮することが大切です。また、開業時には競合となるクリニックが少なくても、開業後に増える可能性も考えられるでしょう。その場合、既存の患者数が減少するリスクも考慮しなければなりません。
事前に、地域の人口構成や発展性なども踏まえて立地条件を調べたり、現地調査を行ったりし、開業する場所は慎重に選ぶようにしましょう。
経営スキルを身につける
クリニックの開業で失敗しないために、医師は医療の知識だけでなく、必要最低限の経営スキルを身につけておくことは非常に重要です。
クリニックの経営には、財務管理やマーケティング、人材管理などさまざまなスキルや知識が必要とされます。日々の診療に加えてこうした知識を習得するための時間を多少なりとも確保しましょう。
とはいえ、どうしても知識習得のリソースが確保できない場合は、クリニック経営の実績が豊富なコンサルタントや税理士などに相談するのも有効だといえるでしょう。
余裕のある運転資金を準備しておく
余裕のある運転資金の確保は、クリニックの開業で失敗しないために大切です。
開業後は、家賃やスタッフの給与、医療機器のメンテナンス費用などの運転資金が必要です。加えて、加えて予期せぬ支出があったり、想定以上に患者数が集まらない可能性もあるため、余裕を持った運転資金を準備しておきましょう。
円滑なコミュニケーションを心がける
クリニック開業を失敗させないためには、スタッフや患者との円滑なコミュニケーションが必要です。
スタッフ同士の人間関係が悪かったり、頻繁にスタッフが入れ変わったりするクリニックでは、職員のモチベーション低下につながることも考えられます。
また、クリニックの雰囲気が悪いと、結果的に患者の評判が落ち、定着率や満足度が低下する可能性があります。マイナスイメージを持たれないような接し方、コミュニケーションの取り方を振りかえってみましょう。
集患対策を講じる
効果的な集患対策を講じることも、クリニック開業に必要不可欠だといえるでしょう。
クリニックは、ただ開業するだけでは患者は集まりません。インターネットやSNSが発達している現代において、ホームページを開設し、クリニックの情報を掲載しておくことが望まれます。
また、クリニックに来院した患者が口コミによって広めてくれるよう、対策を講じておくことも大切です。
集患対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
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まとめ
クリニックの開業で失敗する要因は多岐に渡りますが、経営スキルを身につけ、事業戦略をしっかり策定しておくことが重要です。
自院に適した医療機器の導入や集患のための施策、十分な運転資金の確保など、失敗を回避する対策を行いましょう。
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