電子処方箋とは?仕組みや導入の手順・メリット・活用できる補助金を解説 / エムスリーデジカル株式会社

電子処方箋とは?仕組みや導入の手順・メリット・活用できる補助金を解説

2024年7月18日

電子処方箋とは?仕組みや導入の手順・メリット・活用できる補助金を解説

電子処方箋は、医師が処方する薬の情報を電子データとして運用する仕組みのことです。令和5(2023)年1月から運用が開始されており、自院に導入を検討されている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、電子処方箋の仕組みや導入の手順・メリットを解説します。また、活用できる補助金も紹介するので、電子処方箋の導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
※令和6年6月時点の情報です。

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目次

電子処方箋とは

電子処方箋とは、医師が処方する薬の情報を電子データとして運用するシステムです。
令和5(2023)年1月に運用が開始され、同年12月にはリフィル処方箋への対応や、口頭同意による重複投薬等チェック結果の閲覧、マイナンバーカードを活用した電子署名などの追加機能が導入されました。

電子処方箋は、オンライン資格確認等システムを利用し、クラウド上の「電子処方箋管理サービス」を通じて、病院と薬局間で処方・調剤情報を共有します。
オンライン資格確認等システムや医療DXについては、以下の記事も参考にしてください。

医療DXとは?基本的な考え方や主な取り組み、メリット・デメリットを解説

電子処方箋の仕組み

電子処方箋は、従来の紙の処方箋を使わず、処方情報をデジタルに管理します。医師や歯科医師が処方情報を「電子処方箋管理サービス」に登録し、薬局の薬剤師がその情報を参照して調剤を行う仕組みです。
この仕組みでは、クラウド上に構築された電子処方箋管理サービスを介して、処方・調剤情報を一元化します。これにより、全国の医療機関や薬局において過去の薬剤情報が参照できます。

電子処方箋のメリット

電子処方箋は、患者側・医療者側の双方にとってメリットがあります。

患者側のメリット

患者側のメリットは、主に以下の3つです。

  1. 質の高い医療が受けられる

  2. 自己管理に役立つ

  3. 処方箋を受け取る手間を省ける

それぞれ見ていきましょう。

質の高い医療が受けられる

マイナンバーカードを利用して発行された電子処方箋は、患者の同意がある場合、過去3年分の服薬履歴を共有可能です。これにより、処方・調剤しようとする薬が現在服用中の薬と重複していないか、飲み合わせが悪くないかを確認できます。

自己管理に役立つ

電子処方箋は、マイナポータルを通じて患者自身が診療情報をオンラインで確認できるため、自己管理に役立ちます。自分の服薬情報の履歴を管理できるだけでなく、必要に応じて適切な服薬指導を受けられます。
健康保険証や高齢受給者証などの書類もマイナンバーカードにまとめられるため、利便性が向上します。さらに、電子処方箋の場合、医療機関から通知される引換番号とマイナンバーカードまたは健康保険証があれば薬局で調剤を受けられるため、紙の処方箋のように紛失する心配もありません。

処方箋を受け取る手間を省ける場合がある

電子処方箋の場合、医師が処方した薬剤情報がクラウドデータベースにアップされ、任意の薬局が患者の同意を得て処方情報にアクセスできるため、一部の薬局においては紙の処方箋を調剤薬局へ持参する手間が省ける可能性があります。
患者が到着する前から薬局で調剤準備ができるため、薬局での待ち時間も短縮できるでしょう。また、電子処方箋の管理はスマホやPCで行えるため、診察の後、落ち着いて薬局を選ぶことも可能です。

医療機関側のメリット

医療機関側のメリットは、主に以下の4つが挙げられます。

  1. 処方・調剤情報がデータで一元化できる

  2. 重複投薬の防止につながる

  3. 処方箋の発行や受付の手間を省ける

  4. 医師と薬剤師のスムーズな連携が図れる

それぞれ見ていきましょう。

処方・調剤情報がデータで一元化できる

電子処方箋を利用することで、処方・調剤情報がデータで一元化されます。これにより、患者の直近の処方・調剤情報をリアルタイムで確認でき、結果として、より質の高い診察・処方が期待されます。
また、医療機関が発行した処方箋の調剤結果を薬局から受け取ることができるため、ジェネリック薬品へ変更などの調剤状況を確認できます。さらに、処方の意図や追加情報などを電子的に記録しておけば、診療プロセス全体がより管理しやすくなるでしょう。

重複投薬の防止につながる

電子処方箋管理サービスを利用することで、過去3年間に処方された薬剤情報が確認できるため、重複投薬の防止につながります。
また、電子処方箋を発行する際、入力項目や重複投薬チェック機能を活用することで、形式上のミスによる問い合わせが削減することも期待できます。これにより、患者の安全性が高まり、医療の質向上に寄与します。

処方箋の発行や受付の手間を省ける

電子処方箋では、従来の紙の処方箋のような印刷にかかる手間を大幅に削減できます。処方箋受け入れ時の調剤に関する入力作業の軽減にもつながります。
また、紙の処方箋の保管や管理が不要となるため、事務作業も軽減され、医療スタッフの業務負担が減り、より多くの時間を他の業務に充てることができるでしょう。

医師と薬剤師のスムーズな連携が図れる

電子処方箋の導入により、電子カルテシステムを使用していない医療機関でも、調剤結果や伝達事項を管理サービスのフォーマット上で行えるようになります。これにより、医師と薬剤師の間でのコミュニケーションが容易になり、スムーズな連携が実現します。
さらに、リアルタイムでの情報共有が可能となるため、迅速で適切な対応が行えるようになります。

電子処方箋を導入する手順

電子処方箋を導入する医療機関や薬局は、適切なシステムを整備する必要があります。電子処方箋の導入は、以下の手順で進めます。

  1. オンライン資格確認の利用開始手続きをする

  2. 電子署名を行うための準備・登録をする

  3. システム事業者に発注する

  4. ICカードリーダーを購入する

  5. 電子処方箋利用申請をする

  6. パソコン設定・操作確認をする

  7. 導入後の業務フローを確認しておく

それぞれ解説します。

1. オンライン資格確認の利用開始手続きをする

電子処方箋を導入する際、まずはオンライン資格確認の利用開始手続きが必要です。具体的には、以下のような手続きが含まれます。

  1. 必要機器の準備(パソコン・顔認証付きカードリーダーなど)

  2. アカウント登録

  3. システム事業者へ見積もり依頼・発注

これらの手続きをスムーズに進めるためには、早めにスケジュールを立てて調整することが大切です。

2. 電子署名を行うための準備・登録をする

次に、電子処方箋の発行や地域医療連携で認証に使われる「HPKIカード」を発行するための準備と登録を行います。
HPKIカード発行の申請手続きに必要な書類は、以下の通りです。

  1. 発行申請書

  2. 住民票の写し

  3. 身分証のコピー

  4. 医師免許証のコピ

申請手続きは、日本医師会電子認証センターのホームページから行えます。HPKIカードの発行申請が完了した後、ポータルサイトで発行申請完了の登録を行います。
発行まで数ヶ月かかる可能性があるため、早めに手続きを行いましょう。

3. システム事業者に発注する

現在使用しているレセコンや電子カルテシステムがあれば、HPKIカードの発行申請と同時に、事業者への改修依頼が必要です。
電子処方箋に対応できるよう、ソフトウェアの更新や既存システムの設定変更を行います。

4. ICカードリーダーを購入する(必要な場合)

運用開始後電子署名を使うスマートフォンを変更するときだけ必要な場合がありますので、必要な場合はHPKIカードの読み取りに対応したICカードリーダーの購入を推奨します。
カードリーダーの選定で迷ったら、システム事業者へ相談し、導入作業の実施方針や内容を決定しましょう。

5. 電子処方箋利用申請をする

システム改修の発注やカードリーダーの準備が完了したら、電子処方箋の利用申請をポータルサイトで行います。
申請後、約1週間程度で現在使用しているレセコンや電子カルテシステムなどが電子処方箋管理サービスに接続できるようになります。

6. パソコン設定・操作確認をする

電子処方箋を運用する際、ポータルサイトもしくはシステム事業者が提供する手順書に沿って、パソコンの設定作業を行わなければなりません。
設定作業に迷った場合は、システム事業者に相談しましょう。

7. 導入後の業務フローを確認しておく

電子処方箋の運用を始める前に、導入後の業務フローを確認しておきます。
受付・調剤までの流れ、患者からの問い合わせへの回答、トラブル発生時の対応など、事前にマニュアル化しておくとスムーズに運用開始できるでしょう。

【令和5年度】電子処方箋の導入に活用できる補助金

令和5年度における電子処方箋の導入に、以下の補助金制度が活用できます。
これにより、システム導入にかかるコスト削減につながります。

補助金名 電子処方箋管理サービス(令和4年度からの実施分)の導入に対する補助金 電子処方箋管理サービス新機能の改修に対する補助金
概要 電子処方箋管理サービスの導入に対して提供 既に導入されている電子処方箋管理サービスに新機能を追加するための改修費用に対して提供
対象経費 ・システム導入費用
・ハードウェア購入費用(ICカードリーダーなど)
・ソフトウェアライセンス費用
・リフィル処方箋対応
・口頭同意による重複投薬等
・チェック結果の閲覧機能
・マイナンバーカードを活用した電子署名機能
申請期間 令和7年9月30日まで 令和6年4月より申請受付中
交付額
(クリニックの場合)
19.4万円を上限に補助
※事業額38.7万円の1/2を補助
12.3万円を上限に補助
※事業額24.5万円を上限に1/2を補助

出典: 医療機関向け総合ポータルサイト|電子処方箋管理サービス等関係補助金の申請について

補助金の申請には、オンライン資格確認等システムを運用し、電子処方箋管理サービスを利用できるシステム構築が完了していなければなりません。
その上で、以下の必要書類を準備し、補助金申請の手続きを行います。

  1. 補助金交付申請書

  2. システムベンダー等への精算が確認できる領収(コピー)

  3. 領収書内訳書(コピー)

  4. 電子処方箋管理サービス事業完了報告書

クリニック管轄の窓口に上記の申請書類を提出し、審査に通過すれば、補助金が支給されます。

電子処方箋ならエムスリーデジカル

電子処方箋を導入し、電子カルテやレセコン連携など、院内全体でのクラウド化を検討されている場合、弊社エムスリーデジカル株式会社の製品も選択肢の1つです。

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まとめ

電子処方箋は、医師が処方する薬の情報を電子データとして運用するシステムです。患者の同意があれば過去3年分の服薬履歴を共有できるため、重複投与などの防止や適切な薬学的管理など、質の高い医療を提供できます。結果として、医療の質向上や患者の安全性の確保につながります。
電子処方箋の導入は義務化ではありませんが、院内DXに向け、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社では、オンライン診療や対面診療、予約からキャッシュレス決済まで院内全体のDXを実現する「デジスマ診療」、クラウド型電子カルテ「エムスリーデジカル」を提供しています。電子カルテ単体・レセコン単体・一体型いずれも提供可能です。5,000施設以上の導入実績、100以上のサービス・機器と連携実績があり、利用環境に合わせてご提案できます。

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